まさに光源氏と紫の上!『プリシラ』エルヴィス・プレスリーに愛された15歳の少女。浮気者のスターと彼女の関係は
1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト◎筆者) 【漫画】ベッドの上での撮影大会も… * * * * * * * ◆エルヴィス・プレスリーに愛された女性・プリシラ 「もしもあなたが美人で若くて、世界的ロックスターに愛されたら?」 そんな夢のようなシチュエーションを疑似体験させてくれる映画がこの『プリシラ』。 一昨年大ヒットした映画『エルヴィス』の大ヒットをうけて製作されたものかと思われるが、当時大スターだったエルヴィス・プレスリーに愛され結婚、子ども(リサ・マリー・プレスリー)をもうけた女性・プリシラの視点から描くことで全く違う世界を堪能できる。 さて、この映画を撮影したソフィア・コッポラは、あの『ゴッドファーザー』を作った巨匠、フランシス・フォード・コッポラ監督の娘。けれど、「どうせパパの力添えで監督をしてみただけなんでしょう?」なんて評価は当たらない。この人凄い苦労人なんですよ。
◆女優、ファッションデザイナーから監督へ 彼女の映画界のキャリアは女優スタート。父が作った大作『ゴッドファーザー』の初回に洗礼を受ける男の子として出演。『ゴッドファーザーPARTIII』では、体調不良で降板したウィノナ・ライダーの代わりに、主人公マイケルの娘を演じ、本格女優デビュー。日本公開は1990年、私が25歳の時だ。 ところがその演技が酷いと批評家に酷評され、「彼女の出演でこの映画が台無しになった」とまで言われる騒ぎになった。 当時18歳だった彼女には大変な打撃だったろうし、その裏にはコッポラ監督と映画会社の確執があったと、後にコッポラ自身がインタビューで答えている。 あまりの叩かれようだったので、うら若き娘さんはそのまま活動停止してしまうのではと思ったが、その後、女優もしながら監督にも挑戦、ファッションデザイナーもするなど精力的に活動を継続。2003年に監督した『ロスト・イン・トランスレーション』では脚本賞を受賞し、監督としての地位を確かにした。
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