バイクのオートマ化はホンダの執念か!? 1977年登場の「EARA(エアラ)」が新2輪世紀の幕を開ける
「エアラ」はエンジンを始動し、シフトペダルでローギアに入れて、アクセルを回せばそのままスムーズに発進できます。通常走行用のギアである「スターレンジ」を選択すれば、後はアクセルを回すだけで市街地から高速道路まで走行できます。 「ローレンジ」は曲がりくねった急坂の上り下りでも使用できます。停車の際にはサイドスタンドをセットすると、自動的に「Nレンジ」(=ニュートラル)に戻り、誤発進を防ぐ工夫もありました。 走行中にライダーがシフトを切り替えるという意味では、セミオートマチックトランスミッションと言えそうですが、操作的には4輪のオートマとほぼ同じです。 ベースとなった車体は「CB750フォア」ですが、ホンダは排気量750ccクラスのロングツーリングバイクとして打ち出し、それまでの大型バイク「ナナハン」が持つ豪快なイメージとは対照的な、大人のバイクとして相応しい雰囲気に仕上げられています。 車体各所の仕上げは品質に気を配ったもので、静かで迫力ある佇まいと、フラットなトルク特性のエンジン、ゆったり走れる大人のバイクとホンダマチックとの組み合わせは、新2輪世紀の幕開けを感じさせるものでした。
しかし速さや性能の向上が著しい1970年代のバイクシーンにおいて、「エアラ」はユーザーにさほど注目されることなく生産を終了します。販売的には成功しませんでしたが、現在の大型バイクのDCT隆盛を見ると、「やっと時代が追いついた」とも言えます。 モデル名の「エアラ(EARA)」とは、時代を意味する英語のERA(エラ)と、Automatic(オートマチック)のAを組み合わせて作られました。また「オートマチックの時代を開く」との意味合いも込められているそうです。 ホンダ「エアラ」(1977年型)の当時の販売価格は53万8000円です。 ■ホンダ「EARA(エアラ)」(1977年型)主要諸元 エンジン種類:空冷4ストローク並列4気筒SOHC 総排気量:736cc 最高出力:47PS/7500rpm 最大トルク:5.0kg-m/6000rpm 全長×全幅×全高:2260×855×1230mm 始動方式:キック式/セルフ式併用 車両重量:262kg 燃料タンク容量:19L フレーム形式:ダブルクレードル式 タイヤサイズ(F):3.50H19-4PR タイヤサイズ(R):4.50H17A-4PR 【取材協力】 ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内) ※2023年12月以前に撮影
柴田直行