バイクのオートマ化はホンダの執念か!? 1977年登場の「EARA(エアラ)」が新2輪世紀の幕を開ける
生まれた時代が早過ぎた? クラッチ操作不要のホンダマチック装備
2024年6月に、ホンダからクラッチレバーの操作無しにシフトチェンジ可能な「E-Clutch(イークラッチ)」を装備した「CBR650F」および「CB650F」が発売され、クラッチコントロールを自動制御する画期的な新製品として話題を集めています。 【画像】ホンダ「EARA(エアラ)」(1977年型)の詳細を画像で見る(10枚)
1970年代にも、同じようにクラッチ操作不要で走れる大型バイクがありました。その名は「EARA(エアラ)」です。車体のベースとなった名車「CB750フォア」に比べると影の薄い存在ですが、今こそホンダのオートマチック車開発の歴史とともに振り返ってみたい1台です。 ホンダの自動変速、あるいはクラッチ操作不要への取り組みは、1949年にまでさかのぼります。ホンダ初の本格的なバイクである「ドリームD型」から始まり、60年以上もの長い歴史を持っています。 実際に販売されたメカニズムとしては「スーパーカブ」の自動遠心クラッチや、スクーターのVベルト式、大型バイクでは「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」がお馴染みです。 珍しいところでは、バダリーニ式の油圧駆動型自動変速機「HRD(Honda R&Dの頭文字)」を搭載したスクーター「ジュノオM型」が1961年に発売されています。
HRDはその後「HFT(Human Fitting Transmission)」に進化し、ファクトリーマシンのモトクロスバイク「RC250MA」で1991年の全日本チャンピオンを獲得します。量産型HFTは2008年の未来型クルーザー「DN-01」に採用され、再び日本の公道を走りました。 また近年では、発進にはクラッチレバー操作が必要ですが、走行中はクラッチ操作が不要なクイックシフターや、MotoGPのシームレスミッションも開発されました。 「エアラ」は1977年に発売されているので、世代的には「ジュノオM型」と「DN-01」の間ですが、構造的には全く違うもので、4輪車のオートマチックトランスミッションとしてお馴染みの「ホンダマチック」を搭載しています。 ホンダマチックは「CB400T」などにも搭載され、4輪用のシステムをバイクのエンジンに合わせてコンパクトに設計し直し、大きくハミ出すことなく収まっています。 構造的には油圧のトルクコンバーターを装備し、駆動力を滑らせながら発進や変速が可能。変速はそれぞれクラッチを設けて変速の際に切り替えるという構造でした。