トワイライトエクスプレス、ラストランへ ── 車両管理25年の羽生さん「わが子」見送り7月退職
外だけでなく部屋の一つひとつを隅々までチェック
そんな羽生さんが「いつもこんな風に作業してんねん」と客車の中で点検の様子を見せてくれた。客車の部屋のスイッチ一つひとつまでを細かくチェック。「せっかくお客さんに寝台特急を使ってもらうのに、不備があったら申し訳ない」
電灯から防犯非常ベル、火災報知機や煙感知器まで一部屋ひと部屋すみずみまでをチェックする。「お客様の気持ちがわからんかもしれん」と口では言ってはいたが、客が安全・快適・楽しくすごせるようにと取り組む姿は、客の気持ちを人一倍考えているからこそのものだった。 運行開始以来26年もの間、地球470週分にわたる約1900万キロもの距離を走り、約116万人もの乗客を乗せてきたトワイライトエクスプレス。楽しい旅は、こうした車両管理をはじめ、多くの人の支えがあって成立していたことになる。 羽生さんは「最後のは見送りに行くかわからんし、別の仕事をしてるかわからへん。けど、どっちにしても最後までわが子をしっかり見てから送り出す。平常心ですよ今のところは」と言い残し、作業に戻っていった。