蒸気機関車の修復に尽力の男性が死去 享年98 文化部が表彰へ/台湾
(台北中央社)文化部(文化省)は25日、台湾鉄路(台鉄)にあった鉄道工場「台北機廠」の元副廠長、鄭万経さんが同日早朝、亡くなったと明らかにした。享年98。同部は、蒸気機関車の修復の他、鉄道文化の推進や技術の伝承に尽力したとして、鄭さんを表彰する方針を示した。 同部の資料によると、鄭さんは1927(昭和2)年に中部・苗栗で生まれた。台湾人子弟が通った苗栗第一公学校の高等科を41年に卒業後、翌年に台北機廠の前身、台北鉄道工場にあった「技工見習教習所」の第5期生として入学。44年から組み立て工場で働き、蒸気機関車やディーゼル機関車の整備などに携わったという。 鄭さんは92年に退職したが、97年には退役していたCK101蒸気機関車の修復プロジェクトの総顧問として約7カ月にわたって修復作業に関わり、その後も後進への技術伝承を続けた。 2012年に台北機廠の工場機能が移転し、15年の国定古跡登録を経て19年に国家鉄道博物館準備処が開設されてからも、鄭さんは調査や研究、口述歴史などの取り組みについて熱心に協力し、貴重な資料や証言を提供した。 文化部は、準備処に残る旧副廠長室では鄭さんが提供した資料を展示していると説明。今後は口述歴史に関する書籍を出版する予定があるとし、鉄道工場の職人の文化や技術伝承に対する情熱への理解を深めてほしいとしている。 (趙静瑜/編集:齊藤啓介)