小泉今日子×福岡伸一「“アイドル”と動的平衡」 どんどん壊して、新しくつくり変えていく
これは細胞のなかの遺伝子とかタンパク質というミクロなレベルでデジタル的に生命を解析する学問なんですね。 遺伝子のことについては、その後、20年ぐらいでヒトゲノム計画というのが完成されて、遺伝子を端から端まで全部解析して、そこには細胞のなかで使われているタンパク質、2万種類ぐらいの設計図が全部描きこまれているということがわかったんです。 でも、生命のことについて何がわかったかというと「何もわからないっていうこと」がわかったんです。
そこでやっぱり、生命というのを考えるときに大事なことは何かなといったら、破壊することというか、先回りして壊して、その後で新しいものをつくるところにあるんじゃないかなって。 だから、単に入れ替わるという話じゃないんですね。 小泉 新陳代謝という意味での入れ替わりということではないんですね。 福岡 ええ。もっと積極的なものだということですね。
福岡 伸一 :生物学者、青山学院大学教授、ロックフェラー大学客員教授/小泉 今日子 :歌手、俳優、プロデューサー