「海外のカジノ業者の利益になるだけ」 世界的建築家・山本理顕が明かした「大阪万博批判発言」の真意 「安藤忠雄さんは逃げてはいけない」
キーコンセプトとはかけ離れた計画
そのリングを中心にした万博会場の計画は、もともとの「非中心・離散」というキーコンセプトとは、全くかけ離れたものでした。 以前の計画は、夢洲(ゆめしま)という敷地の軟弱地盤を意識した、小さな島の集合体のような会場だったのです。海外パビリオンと国内企業、政府館の差もなく、中心と周縁というヒエラルキーもない、水面と陸地が混ざり合ったかのような会場計画は、建築家・豊田啓介氏の提案でした。 それまでの万博とは全く異なる自由な計画は、アゼルバイジャンのバクーやロシアのエカテリンブルグを破って、大阪が選ばれた要因の一つだったはずです。 そうした経緯を無視して、藤本さんは「木造リング」で会場を囲い込む計画を提案したのです。会場の中心には万博協会によるテーマ館と森があり、海外パビリオンがそれらを囲むような形で建てられます。
「安藤さんは責任から逃げてはいけない」
この提案が藤本さんのプロデューサー就任と一緒に突然、降って湧いたように出てきたわけですから、それまで「非中心・離散」で進めてきた関係者はかなり混乱したと思います。 アドバイザーである安藤さんの責任は、万博のために働いている建築家やデザイナー、さまざまな専門家たちが、その技量を十分に発揮できる環境を整えることではないでしょうか。それが今や、逆に彼等や万博協会の信用をおとしめるようなことになっています。安藤さん自らの説明がないからです。安藤さんはその責任を感じるべきだと思いますが、今や全く公の場に現れません。安藤さんに言いたいことは、その責任から逃げてはいけないということです。 また安藤さんは、このような国家的プロジェクトに関わったのですから、万博そのものだけではなく、それを巡る現在の状況にも厳しく目配りすべきです。能登では大きな災害が起きました。まだ復興の見通しが全く立っていません。万博協会としても、何らかの支援を打ち出すべきです。そうした提言をすべきです。安藤さんこそが中心になるべきです。