「海外のカジノ業者の利益になるだけ」 世界的建築家・山本理顕が明かした「大阪万博批判発言」の真意 「安藤忠雄さんは逃げてはいけない」
あまりにも無謀だ
こうした専門知識のないままに、大阪府知事や大阪市長は「貫構造」で造るかのような解説をしていましたが、本来はプロデューサーである藤本さん自身が正確な説明をしなくてはならない。 それなのに、彼には説明責任者としての自覚が全くない。そもそも自分がなぜプロデューサーに指名されたか分からないというのです。それは藤本さんから直接聞きました。 〈4月11日、都内で開かれたゲンロンカフェ主催の公開シンポジウム「万博と建築」で、山本氏と藤本氏は対面している。そこで山本氏は、ここまで述べてきた数々の疑問を当人にも問うているが、とても納得のいく答えは得られなかったという。 そして山本氏が改めて不可解だと感じたのは、なぜ藤本氏が万博に携わることになったのか。そこにこそ、この問題の本質があるのではないかということである。〉 藤本さん自身、自分がなぜプロデューサーに選ばれたのか、誰によって選ばれたのか。その理由も根拠も知らされず就任を引き受けたと知って、あまりにも無謀だと感じました。 実際、3月8日に藤本さんはXで、およそ以下のように述べています。 〈2020年の初頭から春までの間に2度、万博協会と面談。2020年4月か5月あたりにプロデューサー打診、就任。プロデューサーの選定のコンペなどなかった。選定方法については僕は存じ上げないが、協会内で十分な議論があったと聞いている〉 藤本さんと万博協会は、どんな契約を交わしたのだろう。プロデューサーの責任範囲が契約書には書かれているはずです。彼はその責任を負えると判断したのだろうか。今からでも遅くないのでその契約書を弁護士に見てもらった方がいい。
すべての混乱の発端
藤本さんの言動を見ていると、プロデューサーの責任について、万博協会側の見解と藤本さん側の理解が、大きく乖離している可能性もあるように思えます。 これまで藤本さんの言ってきたことと、事実関係を整理すると、おおよそのことが見えてきます。 まず19年12月に、建築家の安藤忠雄さんをはじめとする13人のシニア・アドバイザーが選ばれています。特に安藤さんの登場によって、それまであまり盛り上がっていなかった大阪万博が、にわかに注目を集めるようになります。 安藤さんは同年10月に万博のロゴ選定委員会の座長になっており、翌年1月には「万博の桜2025」実行委員長に就任。次々にインパクトのある提案を打ち出しました。 中でも最も大きなインパクトがあったのが、プロデューサーに指名された藤本さんによる「木造リング」だった。それはあまりにも唐突な提案でした。すべての混乱はここから始まったといっていいと思います。