「海外のカジノ業者の利益になるだけ」 世界的建築家・山本理顕が明かした「大阪万博批判発言」の真意 「安藤忠雄さんは逃げてはいけない」
コンペ参加者から怒りのメールが
このような結果に対して、コンペ参加者から3月、以下のような怒りのメールが私宛に届きました。 〈審査委員には、木造の専門家も、構造の専門家も、リユースや資源循環の専門家もいません。さらに、具体的にどのような提案がヒアリングに残ったのか、どのような議論が行われ最終案が選定されたかは、上記の簡単な記述だけで(中略)メディアに対して全くオープンにされていません。全く公開性のない審査で決められています。プロポーザル参加者としては(中略)納得のいかない審査結果を押し付けられた感が強いです〉 このコンペにおいては木造の可能性、そして万博が終わった後のリユースが焦点のひとつだったにもかかわらず、それらに詳しい専門家がいなかったというのです。最も注目される博覧会のシンボルを建築するコンペとして、あまりにもずさんとしか言いようがない。このコンペ要項をつくったのは藤本さんです。プロデューサーとしての責任感が欠如していると思います。
信じられない弁明
おまけに、「木造リング」の設計料は2億円弱で総工費は350億円。これほどの金額がかかる公共工事の設計者を、この程度のずさんな審査で選んだのなら、コンペの参加者だけではなく、本来なら万博協会こそが怒らなくてはならないはずです。 自らの責任をできるだけ回避したいのでしょう。藤本さんは自身のXで大要、 〈この巨大リングを、藤本壮介建築設計事務所が設計業務として請け負うことは、自分で巨大建築を構想して自分の事務所でそれを受けるということになり、自らに利益を流していると受け取られる可能性がある。それは本意ではないので、設計者を別で選定した〉 などと説明していますが、私からすれば信じられません。 藤本さんの役割は、万博協会の期待に応えて、優れた会場計画とシンボルとなる建築を造ることです。「木造リング」のアイデアが藤本さん自身だと言うからには、なおさら設計から監理まですべてに関わり、完璧を目指さなくてはなりません。 万博協会は、藤本さんという建築家を全面的に信頼しているからこそプロデューサーに選んだのです。“金銭の横流しを疑われるから設計は他者に委ねた”などという言い訳は通じません。そんなことを心配しなくてはならないことが、逆に今回の万博プロジェクトに内在する問題をよく表しています。