Google系ウェイモ、LAで自動運転タクシーを一般提供
米グーグル系自動運転開発会社の米ウェイモが、米西部ロサンゼルスで運転手が乗らない自動運転タクシーサービス「Waymo One」の一般提供を始めた。これまで「順番待ちリスト」に登録する必要があったが、専用アプリを利用して誰もが乗車できるようになった。 ■ ロサンゼルスはウェイモにとって最大の都市 ハリウッドや南カリフォルニア大学(USC)などがある市内のほか、ビバリーヒルズやサンタモニカ、ロングビーチなどを含む約200平方キロメートルの範囲を運行する。将来的にはサービスエリアをさらに拡大して市内の広い範囲をカバーするとしている。 ウェイモの共同CEO(最高経営責任者)であるテケドラ・マワカナ氏は「ロサンゼルスの人々にこの素晴らしい体験を共有できることを大変嬉しく思う。私たちのサービスは急速に成熟し、乗客の皆さんには、完全な自動運転がもたらす多くのメリットを受け入れてもらっている」と述べた。 米CNBCによると、380万人以上の人口を擁するロサンゼルスは、ウェイモのロボタクシーサービスが一般公開された3番目の都市であり、これらのうち最大の都市となる。 ウェイモが現在、自動運転技術による旅客輸送サービスを展開している都市は、ロサンゼルスのほか、同じ西部カリフォルニア州のサンフランシスコと南西部アリゾナ州フェニックスである。サンフランシスコ都市圏では高速道路での走行試験も始まった。同社は24年8月、これら都市圏における利用客を2倍に増やすことに成功したと発表していた。 ウェイモが24年11月中旬に発表したところによると、同社のロボタクシーサービスは現在、各都市の合計で週15万回以上の利用がある。24年5月時点の週5万回、24年8月時点の10万回から着実に増えている。
■ 吉利や現代自がウェイモに車両供給 ウェイモは、ロボタクシーサービスを全米規模に拡大させたい考えだ。24年10月には、グーグル持ち株会社の米アルファベットや米ベンチャーキャピタル(VC)から56億ドル(約8600億円)の資金を調達した。アルファベットが、アンドリーセン・ホロウィッツやフィデリティ、ペリー・クリーク、シルバーレイク、タイガー・グローバル、ティー・ロウ・プライスなどと共に、ウェイモのシリーズCの資金調達ラウンドを主導した。ウェイモは、これらの資金を技術開発や市場開拓などに充てる。 同社は24年8月、自動運転システム「Waymo Driver」の第6世代を発表した。中国の電気自動車(EV)「Zeekr(ジーカー)」をベースに、搭載センサー(LiDAR、カメラ、レーダー)の数を減らすことで、コスト削減を図った。Zeekrは中国民営自動車大手の浙江吉利控股集団(吉利グループ)傘下の高級EVブランドである。 ウェイモは韓国・現代自動車とも提携した。今後、現代自動車のEV「IONIQ(アイオニック)5」にWaymo Driverを搭載し、Waymo Oneの車両群に追加する。 ■ ウェイモ、ウーバーとも提携 ウェイモは米ウーバーテクノロジーズとも提携した。ウーバーとは南部ジョージア州アトランタと南部テキサス州オースティンで25年にロボタクシーサービスを始める。これにより、ウェイモは配車サービス大手であるウーバーの顧客基盤にリーチできるようになる。ウーバーは自社アプリ上でロボタクシーを配車でき、その収益の一部を受け取ることができる。 この2都市で、顧客がサービスを利用できるのはウーバーのアプリからのみで、ウェイモは自社アプリを運用しない。提携の一環としてウーバーは車両の清掃や修理などを担当する。
小久保 重信