本郷和人『光る君へ』二人の関係が怪しまれる中、道長がまひろしか喜ばなさそうな「紙」を褒美にしたために微妙な空気に。でも決して道長が無頓着だったのではなく…
◆紙は貴重品 『光る君へ』を続けて見てきた方ならお分かりになっていると思いますが、紙は平安時代における大変な貴重品でした。 なので、ドラマ内で<褒美>として道長が紙を持ってきたのは、決して不自然なことでも、彼がまひろにぞっこんで、無頓着だったわけでもないのです。 ちなみに厚い紙はダメ。薄い紙が格上。 兄から美しい紙が贈られてきた。どう使おうか? と主人の定子から相談された清少納言は「私に下さい。そこに面白いものを書きます」と願い出た。 それでできたのが『枕草子』です。 そういえば、平安時代前期に成立した『竹取物語』では、かぐや姫が5人の求婚者にとんでもない贈り物を要求していましたね。 「仏の御石の鉢」、「蓬莱の玉の枝」、「火鼠の皮衣」、「竜の首の玉」、「燕の子安貝」でしたか。 いや、こちらについては男からすれば、どうせえっちゅうねん、ですが。
◆平安時代のおしゃれは「種類やいろどり」が勝負 まひろが執筆中の『源氏物語』でも、光源氏が女性たちに実にセンスの良いプレゼントをしています。 小物もあるけれど、主にはやはり衣服。 この連載でも指摘しましたが、日本にはイヤリングなどのアクセサリーがあまり発達しなかった反面、おしゃれは「種類やいろどり、どんな衣服を身につけるか」が勝負なんです。 だから「モテる男」は、いかに女性のステュエーションに配慮した衣服をプレゼントするか、でアピールする。 いやあ、こうした男女のやりとりを読むと、僕なぞは、「光る君は総理大臣級のえらい人なんだから、他にすることあるだろう」と思ってしまうんですけど。 はい、非モテのひがみです。お許し下さい。
本郷和人
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