低予算とフル回転可能な便利さ。なぜブルージェイズは山口俊を獲得したのか?
巨人からメジャー移籍のためのポスティング申請をしていた山口俊投手(32)がトロント・ブルージェイズと契約合意に達した。17日(日本時間18日)、「ジ・アスレチック」の敏腕記者、ケン・ローゼンタール記者ら複数の米メディアが報じたもの。契約は2年で総額600万ドル強(約6億6000万円)にボーナスをつけたものになると見込まれている。 カナダのトロントを本拠地とするブルージェイズは、1992年、1993年と続けてワールドチャンピオンに輝いた名門で、過去日本人選手としては、大家友和、川崎宗則、五十嵐亮太、青木宣親らが在籍していた。しかし、今季は67勝95敗でア・リーグ東地区4位に沈んだ。3年連続ポストシーズン進出ができておらず、チーム防御率4.79(リーグ8位)と最悪だった投手陣の立て直しが急務で、シーズン中にストロマンを放出したため、2桁勝利投手が一人も先発陣にいないという状況だった。今オフは、アスレチックスから今季10勝のロアークを獲得。ブルワーズからは今季8勝のアンダーソンをトレードで獲得したが、大物の獲得には失敗。「ジ・アスレチック」によると「先発に厚みを持たせることになった山口の獲得は低予算ででき、リスクの低いもの。さらなる投手の獲得の動きを続けられることになった」というのが、山口獲得の理由だという。 ブルージェイズは、今後も先発補強を続けていく予定で、まずは、2年約600万ドルと低予算で獲得可能だった山口を押さえておいたようだ。 ただ同紙のローゼンタール記者は、ツイッターで「山口は先発5番手になるチャンスがあるが、ブルージェイズはブルペンの役割を与える可能性が高くなるかもしれないと考えている。右打者、左打者の両方に対して使えるスプリットフィンガーファストボールが彼の主な武器となる」と伝え、先発よりもブルペン起用の可能性が高いことを示唆している。 トロント・スター紙も「ブルージェイズは火曜日午後にもう1人の投手(山口)を加えたが、多くの人々が待ち続ける大補強の代わりに層を厚くするための契約だった」と、今後も続く補強戦略の第一歩であるという見解を示した。同紙も山口の起用法について「もしスプリングトレーニングが今日始まっていれば、山口は早い段階で先発投手での仕事を勝ち取る有力候補となっただろうが、ブルージェイズは、まだ確固たる特別な役割を与えていない。先発に加えてフォークボール投手(の山口)はトロントに長いイニングの投球をもたらすブルペンからのスイングマン、もしくは控え先発投手としてのオプションが残されている」と、中継ぎ起用の可能性を示唆した。