米国「konbini」研究者が心酔した日本コンビニの魅力、オーナーの悲哀
ハーバード大エドウィン・O・ライシャワー日本研究所エグゼクティブ・ディレクターのギャヴィン・ホワイトロー博士は、日本のコンビニ(konbini)の研究者だ。日本のコンビニ好きが高じ、山形県松山町(2005年に「酒田市」に合併)のコンビニで数年間のアルバイトをした経験までを持つ。 『トーキョー・トーテム 主観的東京ガイド/Tokyo Totem – A Guide to Tokyo』(2015年、フリックスタジオ刊)より、ホワイトロー博士が執筆した章、「konbini Morphology」を以下、翻訳で紹介する。 コンビニのマニュアルに書かれた「常に動いていること」 最初のメジャーチェーンが1970年代に誕生して以来、「コンビニ」は社会に定着し、絶え間ない進化を遂げてきた。 コンビニのマニュアルには「常に動いていること」と記されている。加工食品は1日に3回配達される。腐らないもの、牛乳やパンは24時間に1回だ。夜明けとともに、新聞も配達される。 客がいない時間も、スタッフは在庫の補充、清掃に忙しい。スタッフの手によって、その週発売の雑誌はラックに陳列され、バックナンバーは箱詰めされ返品にまわされる。 新しく配達された食品が棚に並べられていく一方で、売れ残った食品は捨てられるか、ひっそりとどこかの誰かの口に消えていく。新製品のバナーを張り出し、古いバナーを取り除くのも彼らの作業だ。 店舗の責任者は翌日の発注をし、家庭へ配達、支払いをし、新しいバイトを教育し、サービス係からのガイダンスを受け取り、店の売上を送金する。 彼らには、寝る間もないのが現実だ。 ■都内のコンビニは「1860人に1軒」 たとえば東京には「1860人に1軒」コンビニがある。人々に地図上の目印として使われるほどその数は豊富で、認知度も高い。 しかし、商業的にはイケていなかったり、製品の回転率が悪かったり、客足が伸び悩んでいる、または労働者不足が不足している、あるいは、産業の革新についていけない店は本部から目をつけられることとなる。 とくに、10年間のフランチャイズ契約にサインし、24時間営業に関連するリスクの多くを担っている数万のフランチャイズ契約店にこういった状況が当てはまる。 契約書にサインすれば、一時的には利益がもたらされる可能性がある。しかし四半期を重ねるごとに赤字が累積し、フランチャイズ店は借金や新たな契約、店舗移転を余儀なくされることもあるのだ。