イーライリリー、肥満症薬の第3四半期売上高が予想下回る
Bhanvi Satija Patrick Wingrove [30日 ロイター] - 米製薬大手イーライリリーが30日発表した2024年第3・四半期決算は、肥満症治療薬「ゼップバウンド」と糖尿病薬「マンジャロ」の売上高が市場予想を下回った。これを受け、同社の株価は一時8%下落した。 売上高はマンジャロが31億1000万ドル、ゼップバウンドが12億6000万ドル。LSEGがまとめたアナリスト予想はマンジャロが42億ドル、ゼップバウンドが16億9000万ドルとなっていた。アナリストは両薬を合わせた今年の売上高を190億ドルと予想している。 両薬とも旺盛な需要により品不足となっていたが、イーライリリーによると、第3・四半期に製造能力を増強したことにより卸売業者からの受注残は解消されたという。現時点で品薄状態は発生しておらず、販売業者には供給が行き届いている。 デイビッド・リック最高経営責任者(CEO)は投資家向け電話会議で、売り上げが振るわなかった1つの要因は、卸売業者や再販業者の顧客がそれぞれの物理的・経済的制約に基づいて在庫数量を選択したことにあると説明した。両薬は輸送・保管中に冷蔵保存する必要がある。 またリック氏はCNBCのインタビューに応じ、いずれの薬剤も供給過剰な状況だが、ゼップバウンドの宣伝を開始しておらず、米国内の在庫を増やすことに集中するために海外での発売を控えていると語った。その上で「当初計画していたような需要の喚起は行っていない」と述べた。 IQVIAのデータによると、売上高は予想に届かなかったものの、両薬の今四半期の処方数は増加が続いており、週平均約14万件となっている。前四半期は同9万3000件強だった。 一方でイーライリリーは第3・四半期の買収費用を理由に、今年通期の調整後1株利益見通しを従来の16.10─16.60ドルから13.02─13.52ドルに下方修正した。 以前公表した28億ドルの買収関連費用と製造コストの増加も第3・四半期の利益が予想を下回ったことの一因となった。 今年通期の売上高見通しは、予想レンジの上限を6億ドル引き下げて460億ドルとし、下限は454億ドルに据え置いた。