【玉ノ井親方の視点】大の里の相撲は見た目以上に余裕があった 土俵際逆転は乗ってきた証
◇大相撲夏場所4日目(2024年5月15日 東京・両国国技館) 苦戦はしたが、大の里の成長を感じさせる一番だった。途中で相手十分の左四つに組まれ、一気に前に出られた。一瞬ヒヤッとさせられたが、その後の反応が良かった。右で若元春の頭を抱えるように捻り、左を相手の右肘にあてがいながら突き落とした。 見た目以上に余裕が感じられる相撲内容だった。それができたのも、立ち合いで当たった後にしっかりと押し込めていたからだ。安易に組まずに突き放していった分、反撃しようとした若元春の上体が伸びた。普通はあの形になれば若元春の流れ。それを土俵際で逆転できるということは、調子が乗ってきた証ともいえる。 今場所は大関陣がピリッとしない。ただ、取組を重ねていけば彼らもだんだん落ち着きを取り戻して調子を上げていくはず。大の里の成長度合いも、上位との相撲で推し量れるだろうが、入幕3場所目で確実に力をつけてきているのは間違いない。(元大関・栃東)