清水美砂「成田空港、そして成田の皆さんの思いがたくさん詰まった映画。愛をこめて作らせていただいた」
映画「空の港のありがとう」公開記念舞台挨拶
映画「空の港のありがとう」の公開記念舞台挨拶が6月1日、東京・渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、主演の清水美砂と片岡凛が登壇した。 作品の舞台はコロナ禍が明けて、人手不足に陥っている成田空港。清水は成田空港で地上業務を担うグラウドハンドリングスタッフの女性、片岡はその娘を演じた。 清水は冒頭「この作品は成田空港、そして成田の皆さんの思いがたくさん詰まっております。私たちも愛をこめて作らせていただきました。短編映画がこういう形で劇場で長く上映することはあまりない。長編とは違うということもあるんでしょうけど。でもこうやって成田空港の方たちの思いを伝えたいということで、劇場でイベントをやらせていただき、見ていただけるのは出演している私たちもうれしい」などと挨拶した。
撮影については「3日間。結構つらかった」と振り返るが、制服で空港内を歩き回ることが多かったことから本当の空港スタッフと間違われて利用客にいろいろと聞かれることもあったという。 また片岡が「清水さんが本当にお母さんのような器で、一緒にいてくださると安心感が強くて」などと撮影中の現場の雰囲気を明かすと清水は「丘の上で飛行機を見ているラストシーンで(片岡が)“ありがとう”って叫ぶんですが、そこで彼女が涙を流していたのは台本にはないんです。本当に感情があふれんばかりにこもっていた。あそこは私も感動した。こんなに繊細な素晴らしい女優さんとお仕事ができて私も幸せだったと今でも思います。本当に素晴らしい。感情が豊か。絶対に作ってない。絶対この人たちは大きくなったら高い所まで行くなと思った」と片岡とその弟役の松野晃士の今後の飛躍を約束した。
最後は「今、日本映画って海外、他のアジアの方たちに負けているかなって思う時があるんです。そう思うとちょっと寂しくて。私たち日本人は“おもてなし”という言葉もありますが、日本の良さを伝えることができることが絶対にあるんですね。それは航空会社、空港のスタッフの皆さんも表には出ない仕事をしていらっしゃいますが、そういうおもてなしをしっかりと心に留めて働いていらっしゃいます。他の日本の企業の大きな会社でも、裏でしっかりと誇りを持って仕事をしていらっしゃる方もいます。私も俳優として、日本人として日本の素晴らしさをこれからも伝えていきたいと思っています。皆さん、頑張っていきましょう。辛い仕事こそ人間として成長できると私は思っているので、人間としていい育ちをできるように辛いことも頑張ってやっていきたいと思っています。皆さんも頑張っていきましょう」と時折言葉を詰まらせながら観客に訴えた。 同作は成田空港で地上業務などを担うグランドハンドリングスタッフの奮闘劇と、同空港で働く人々や利用者の実話を集めて作られた短編映画。成田空港地域映画製作委員会が、吉本興業の「地域発信型映画プロジェクト」と、10年来「成田を舞台にした映画をとりたい」という強い意志を持つ成田市出身のYuki Saito監督がタッグを組み、地域出身の監督の手で、成田を、再び誰もが憧れる地域・職場となるような映画が実現できないかという挑戦のもと出来上がったもの。5月31日からヒューマントラストシネマ渋谷ほかで上映されている。