日常を積み重ねた先でたどり着いた指導スタイル。鹿島アントラーズユース・柳沢敦監督が若鹿たちに注ぎ込む情熱の行方 高円宮杯プレミアリーグEAST 鹿島アントラーズユース×前橋育英高校マッチレビュー
「やっぱりそうですよね。僕もそう思います」
柔和な笑顔を浮かべながら、ワールドカップにも出場した日本サッカー史に残るストライカーは、こちらの言葉を優しく肯定する。その人は鹿島アントラーズユースを率いる指揮官。柳沢敦監督だ。
5年ぶりにプレミアリーグへと帰ってきた今シーズン。若鹿は快進撃を続けている。19節を終えた段階の順位は、堂々の首位。2位の横浜FCユースとは勝点も得失点差も並んでおり、総得点で上回って、リーグテーブルの一番上に名前を連ねている。
特筆すべきはそのメンバー構成の若さだ。ドイスボランチを任されている福岡勇和と大貫琉偉、リーグトップスコアラーの吉田湊海や前線と中盤を兼任できる平島大悟は1年生。さらに中学3年生の高木瑛人と小笠原央は、ジュニアユース在籍中にもかかわらずプレミアの出場機会を掴むと、どちらもゴールまで記録。とにかく思い切った選手起用が際立っている。
「『学年に関係なくチャンスがある』ということは示してきたつもりです。今は1、2年生が多く試合に出ている中で、そこに対して3年生の刺激もありますし、さらに中学生にも出られるチャンスはあるわけで、それを考えれば競争は激しくなっていると思いますし、みんなが『うかうかしていられないな』という気持ちになるでしょう。やはりアントラーズの哲学でもある『競争と結束』をキーワードにしながら、今のチーム作りに取り組んでいます」
柳沢監督はさらりと口にしたものの、プレミアリーグの舞台でこれだけの若き才能を使いながら、きっちりと結果も残しているのだから、振るってきたその手腕には恐れ入るほかにない。
この日のホームゲームの相手は、4連勝中と波に乗る前橋育英高校。難敵相手の一戦は開始2分でいきなり中川天蒼が先制点を記録。幸先良いスタートを切ったものの、以降は相手のパスワークにやや後手に回る展開を強いられ、守備の時間が長くなっていく。
67分にはセットプレーから失点。スコアを振り出しに引き戻されたが、柳沢監督はピッチの選手たちの表情を逞しく感じていたという。「僕は『まだ時間も全然あるし、切り替えられるな』と思っていたんですけど、選手たちも下を向くことなく、ピッチの中で『もう1回行くぞ』と声を掛け合っている状態だったので、『振り出しに戻っただけかな』と思っていました」。リーグ戦もこの日がちょうど20節。いろいろな経験を積み上げてきたチームは、小さくない自信を纏っていた。
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