新NISAで一体何を買うべき? 経済理論から導かれる「意外な銘柄」
さて、日本の外食・小売企業はそのことをよく理解している。これからは海外だという認識はどの企業でも持っている。難しいのは、中国やアジアの地元企業と戦って勝てるのかという点だ。つまり、商品力でグローバル進出できる会社でなければ成長していけないということになる。ユニクロ以外にそのような力がありそうな小売業は無印良品とニトリあたりだろうか。 そういった会社の株を買っておくのもいいだろう。ただこの難しい条件をすべて満たす、まだ注目されていない業種がもうひとつあることにお気づきだろうか? 今、世界中から日本にやってくるインバウンド観光客が大喜びで買い漁るものがその正体だ。こんなに美味しいのにこんなに安い。「今回の旅行はこれだけが目的で、もう3軒もはしごしている」なんていう強者もいるぐらい。その商品とは「ラーメン」だ。 実はグローバルに展開するラーメン銘柄は、ここまで議論をしてきた条件をすべて満たしている。日本企業でありながら、これからの市場は縮小する国内だけではなく、海外でも店舗拡大が見込める。しかしまだ注目度が低いため、株価はそれほど高くはない。 「ラーメン」の株価がまだ低い理由は、国内市場に無数の職人型のラーメン店が存在するせいだ。大企業型ラーメンチェーンは、そういった個人経営のラーメン店と同じ土俵で戦う必要がある。しかもラーメン業界には「1000円の壁」というものがあって、なかなか客単価も上がらない。だから国内で儲けるのは難しく、結果、株価も上がらない。 ところが、海外に進出すると条件はまったく逆になる。ライバルである個人経営のラーメン店は海外に進出できる資金力などない。セントラルキッチンで大量に高品質のスープを製造できる大企業の方が海外進出には向いている。海外で人気の豚骨ラーメンについて、宗教上の問題をクリアするために味は同じだがプラントベース(植物由来)のスープを用意するといったやり方は、大企業でないと投資も難しい芸当である。 一方で海外には1000円の壁など存在しない。日本人から見ればずいぶん高い価格、だけれども現地のひとたちから見ればそれでも安い価格でラーメンを提供できる。だから日本よりもずっと儲かる。 ラーメン業界では一風堂がこの戦略で海外進出をして成功したため、これに続けと続々とラーメンチェーン店が海外を目指している。大手の飲食チェーンでは、ラーメンジャンルでの海外進出を計画している会社がたくさん存在している。 つまり、新NISAで狙うとしたら「グローバルラーメン銘柄」にチャンスありというのが、私が行き着いた独自の視点なのである。とはいえ投資はあくまで自己責任で。 文/鈴木貴博 写真/photo-ac.com、金融庁、IPPUDO-US