「イライラする」「気分が落ち込む」《不機嫌》をもたらす原因とは?自律神経の専門医が教える、上機嫌で過ごすためのヒント
◆生活習慣の改善でご機嫌を取り戻せる では、自律神経を整えて機嫌よくいるためのコツを具体的にお話ししていきます。基本は「食事」と「運動」と「睡眠」。食事はおもに腸内環境を整えることを意識して、食物繊維や発酵食品、セロトニンの原料となるトリプトファンを含む鶏肉を積極的に食べましょう。 そして、朝・昼・晩三食きちんと食べ、空腹時間が長くならないこと。おなかが空くと交感神経が優位になり、イライラして食欲が増してしまいます。過食は血糖値の上昇を引き起こし、自律神経の乱れにつながるため、食事は腹七分目を心がけて。 そしてよく噛むこと。一定のリズムを感じると副交感神経が優位になり、悪化していた血流が改善するので、緊張が解けてストレスも軽減。不安な気持ちを解消できます。また、噛むことで腸を刺激し、消化を助けてくれる、といいことずくめです。 運動も自律神経を整えるのに不可欠。運動をすれば交感神経が優位になり、運動後は副交感神経が優位になるため、運動習慣は鈍っていたスイッチを切り替えやすくする効果があります。 いつもより遠いコンビニまで歩いたり、エレベーターではなく階段を使ったりするのでもいいでしょう。私は毎日、神社にお参りに行くことを運動の代わりにしています。 睡眠の質も大切です。本来、入眠するときは副交感神経が優位である必要がありますが、ストレスを感じていたり、寝る前にスマホを見たりすると交感神経が優位に。これが自律神経の乱れを引き起こし、睡眠の質を低下させます。 寝つきが悪い人は、セロトニン不足や日中の運動量が足りない可能性も。太陽の光を浴びる、寝る前にお風呂で体温を上げておくなど、生活を見直すとぐっすり眠れるようになるはずです。
◆花を飾りたいと思う自分でいられるか 次に、私が実践していることをご紹介しましょう。まずは部屋の「整理整頓」です。はじめは面倒に思うかもしれませんが、片づいたあとの爽快感、達成感はモチベーションをぐんと上げてくれます。 先日、教授室をきれいに整理したところ、やる気がみなぎってきました。部屋を片づけて「花の一輪でも飾ろう」と思えたら、自律神経のバランスが整っている証拠。環境を整えると心に余裕が生まれ、自律神経も安定しますので、ぜひ取り組んでみてください。 次に、人間関係の見直し。若い頃は多くの人から学びを得る時期ですからある程度のつき合いは必要ですが、シニア世代ともなればストレスを感じるつき合いを無理にする必要はありません。これからは本当に大切な人とのつき合いの中で、ご機嫌に過ごすことが大事なのです。 そして、新しいことへの挑戦。私は英語の学び直しをすることにしました。イギリスの病院に勤務していた時期もあり、英語ができないわけではありませんが、今あらためて学び直すことにワクワクしています。 この「ワクワク感」は、自律神経を活性化させるのに大変効果的。「もう年だから」と尻込みせず、今日が人生でいちばん若いわけですから、挑戦しないのはもったいない。 ほかにも、毎日の暮らしの中でできる、自律神経を整える習慣をいくつか後編でご紹介します。楽しみながらやってみてください。 (構成=島田ゆかり)
小林弘幸
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