「掃除は短時間の事務作業だから」と、1日30分の会社清掃に残業代が付きません。正直困っているのですが、残業代は請求できないでしょうか?
職場によっては、事業所内の掃除を従業員の役割にしていることがあります。勤務時間内で終了できるなら問題はありません。 しかし、退社時間を過ぎてから30分間掃除を行ったのに「事務作業だから」という理由で残業扱いされなかった場合は、どのようにしたらよいのでしょうか。 今回は、短時間の残業が日課になっている際の考え方や残業代を請求する際の注意点などを紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
定時を超えて働いた分は残業代を請求できる
事業所内の掃除で30分退社時間が遅くなったときは、残業代の対象になります。経営者によっては「事務作業だし、1時間に満たないから」という理由で残業として扱わない場合もあるでしょう。 ところが、15分でも30分でもきちんと計算して残業代を支払うのが原則です。短時間だからという理由で、経営者が勝手に判断して省くことはできません。1時間に満たない短い単位で切り捨てるのは違法です。 残業した分は、1ヶ月分の総残業時間を出したうえで残業代を計算します。1日30分の掃除でも日課になっているなら、1ヶ月でそれなりの時間になります。週の所定労働日数が5日なら1週間で150分、1ヶ月で600分です。毎月10時間分の残業代が未払いになっていることを意味します。
割増賃金を請求できるケースとできないケース
残業代を考える際、念頭におきたいのは「法定労働時間」と「所定労働時間」です。この2つの違いを理解しておかなければなりません。法定労働時間とは法律で定められた労働時間のことで、1日の上限は8時間、1週間の上限は40時間です。これを超えて残業した場合、25%割増した残業代を受け取れます。 対して、所定労働時間とは社内ルールとして会社が独自に決めた労働時間のことです。所定労働時間が7時間の職場で1時間残業しても、総労働時間は8時間です。この場合は法定労働時間の8時間を超えていないため、残業代は割増になりません。 例えば、所定労働時間が7時間、時給1200円の人が1時間残業しても残業代は1200円です。もしも3時間残業したときは2時間目以降は割増になるため「1200円×25%」で、1時間あたり1500円で計算されます。