<ボクシング>井上、1年ぶりのV1成功でアメリカ進出だ!
WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(22歳、大橋)が、12月29日に東京・有明コロシアムで、同級1位のワルリト・パレナス(32歳、フィリピン)と初防衛戦を行うことが20日、都内で発表された。同日には、元世界2階級王者の八重樫東(32歳、大橋)がIBF世界ライトフライ級王者のハビエル・メンドサ(24歳、メキシコ)に挑むことも発表され、ダブル世界戦として開催されることになった。 井上は、昨年末に11度防衛の伝説の王者、オマール・ナルバエス(アルゼンチン)を2回KOで撃沈してタイトルを奪取した。動画でそのKOシーンが全世界に流れ、INOUEの名前が高く評価された。 だが、試合の度に痛めていた右拳をまた負傷。骨折はしなかったが、強打者ゆえの代償とも言える拳の関節の怪我で、1年ものブランクを作った。 「右手を使えない間、左手だけでスパーリングを行い、下半身の強化もできた。1年の時間を使った、いい練習、いい調整ができた。1パーセントの不安があるが、99パーセントは楽しみ」 箱根の険しい山道を使った8キロのランニングなどで下半身をいじめ抜いてきたという。 井上が怪我で防衛戦ができないため、7月にパレナスと同級2位のダビ・カルモナ(メキシコ)との間で暫定王座決定戦が行われた。だが、三者三様のドローで暫定王者は決まらなかった。大橋ジムサイドにどちらと戦うかの選択権があったが、大橋会長が、「2位と指名試合をやってもファンに理解されにくい。最強の1位とやるのが筋」と、ランキング1位を選んだ。井上も「そりゃ、カルモナの方が楽ですが、そんなのに勝っても意味がない。アマで200戦以上やって、一発で倒す力もあるハードパンチャー。前半は右拳の様子を見ながら、後半に倒しにいきたい」と言う。 9月から「マックスで打てる」までに右拳は回復したが、まだ8オンスのグローブで思い切り打ったことはなく、怖さがないわけではない。1パーセントの不安は、その恐怖感だ。 「今は、痛みがないが、試合でどうなるのかの不安はある。試合の中で思い切りパンチを出しながら感覚を確かめていきたい」。 挑戦者のパレナスは4年前に来日、ウォーズ・カツマタのリングネームで2年間だけ日本のリングで活動していた逆輸入ボクサー。24勝(21KO)6敗1引分の戦績で、オーソドックススタイルだが、長いリーチを活かした左のリードブローで試合を作り、右のフックで仕留めるのがパターン。暫定戦でもダウンシーンを演出するなど、ひとつ間違えばのパンチ力と破壊力がある。「前半は、あの左をどう封じるか、でしょうね」と、井上の頭にも、パレナス攻略のプランはできあがっている。