ソラマメ新品種「はるのそら」誕生 最大産地・鹿児島県が開発
種まき前の低温処理いらず
ソラマメ国内最大の産地・鹿児島県の県農業開発総合センターは、種まき前の低温処理が不要な新品種「はるのそら」を育成した。低温処理にかかる生産者の労力が削減できる他、電気代、冷蔵庫の設備代も不要になる。商品収量は従来品種と同程度で、種子の皮に褐色の染みができる「染み症」も少ない。栽培は県内限定で2025年産からの一般栽培を予定する。 ソラマメは開花促進のため、種まき前の低温処理が必要だ。播種箱で催芽後、3度の冷蔵庫に約1カ月保管する必要がある。台風後のまき直し対策として事前に予備の種子の準備なども必要で、負担が大きい。課題解決を求める生産者の声を受け、10年から育成した。 低温処理が不要な「はるのそら」は催芽後に直接種をまけるため、労力は10アール当たり4時間削減できる。 肥料や仕立て方などは従来と同じで、商品収量は主力品種「唐比の春」と同程度の10アール当たり約2・5トン。品質低下につながる「染み症」の発生率は「唐比の春」の5・1%から「はるのそら」では2・7%に下がる。 出荷は12月から5月までで、ピークは3、4月ごろ。ソラマメは、春が旬の品目だと印象付けるため「はるのそら」と名付けた。同センターは「省力的に作れる同品種を規模拡大に役立て、日本一の産地維持につなげてほしい」と話す。
日本農業新聞