世帯分離すれば、給付金が増えたり、健康保険料が減ったりするみたいだけれど、本当に受け付けてもらえるの?
世帯分離とは、(引っ越しをすることなく)ある世帯から一部の方を別の世帯として分ける手続きのことです(※1)。 このメリットとしてよく知られているのが、健康保険料などの社会保険料が減ることです。しかし、どんな場合でも、また誰もができるものでもありません。 そこで本記事では、世帯分離をどのような場合に検討すべきか、そのメリット・デメリット、そして注意点を解説します。
世帯とは何か?
世帯分離とは何かを理解するためには、「世帯」とは何か、の理解が欠かせません。そこで、世帯の定義を見てみましょう。 「世帯とは、住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、もしくは独立して生計を営む単身者をいう」 (「厚生労働省 用語の説明」より引用※2) この定義において、世帯分離に関連するのは前半部分の「世帯とは、住居及び生計を共にする者の集まり……」の箇所です。すなわち、世帯とは同じ家に住み、生計を共にしている者同士、ということです。
「生計を共にする」とは何か?
では、「住居を共にする」はイメージがつくと思いますが、「生計を共にする」とはどういうことでしょうか? この点については、幅広い解釈が可能ですが、たとえば以下の解釈があります。 「生計をともにするとは、つまり、世帯員がくらしを立てるためのてだてをともにすることを意味する。これについては、生活するための費用をともにすることはもちろん、生活に必要な家具や家事労働等を恒常的にともにすることと解される」 (大阪市行政不服審査会 令和3年12月8日付け裁決(答申第9号)より抜粋 ※3) この解釈によれば、「生計を共にする」とは、1つの世帯に暮らす者が家賃や食費など、家計が一緒になっていたり、家事を分担していたり、電気、ガスなどの生活インフラを共有していたりする状態、といえます。 裏を返すと、同じ家に住んでいても、収入も別、生活にかかる費用も別、生活に関わるインフラも別、ということであれば、「生計を共にする」状態であるとはいえません。 このような状態であれば、世帯は別とみなされ、世帯を分離することが可能になります。