世帯分離すれば、給付金が増えたり、健康保険料が減ったりするみたいだけれど、本当に受け付けてもらえるの?
世帯分離のメリットとデメリット
ここまでのまとめとして、世帯分離の主なメリットとデメリットをご紹介します。 ■メリット 1.教育費の負担を軽減できることがある 2.国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料などが低くなることがある 3.介護費用の自己負担割合など、介護に関する費用が低くなることがある 4.給付金(年金生活者支援給付金など)を受けられることがある ■デメリット 1.家族手当や扶養手当が受けられなくなる 2.所得税や住民税が増えることがある(扶養控除が受けられない) 3.一部の公共サービスを受けられない場合がある(例:市営住宅は世帯を分離しての居住が禁止されている場合がある ※4) 4.子が加入する健康保険に親が加入できなくなる ■注意点 世帯分離によって上記のメリットが生じる主なケースは、同じ世帯の中に、収入がないか、もしくは住民税非課税レベルの所得の方がいるような場合です。したがって、相応の収入がある方を世帯分離してもメリットがないばかりか、上記のデメリットが生じる場合があります。 また、夫婦間での世帯分離は、離婚調停中やDVなど特殊なケースを除き、認められない場合がほとんど(※5)ですので、注意してください。
世帯分離を検討するなら、まずは相談を
本記事でご紹介したケースのように、世帯分離は就職や介護など、大きなライフイベントがあった際に検討することが多い手続きです。ですから、最初から世帯分離を目的とするのではなく、家計や介護の相談の中で、その対策として検討すべきものといえます。 したがって、まずは家計や介護に関する問題を相談できる市区町村役場や、社会福祉協議会や地域包括支援センターなどの機関へ相談してから、本格的に検討することをおすすめします。 なお、世帯分離が認められるかどうかはケースバイケースであり、各自治体でも事実確認の方法に違いがあるのが実情です。また、一部の自治体からは、単に社会保険料の支払いを減らすことを目的とする世帯分離は慎むよう、通知を出しているところもあります。 世帯分離を行う際は、専門家等に相談の上、メリット・デメリットを慎重に比較してから世帯分離を本当にすべきかどうか検討するようにしてください。 出典 (※1)川崎市 世帯分離届(世帯を分けるとき) (※2)厚生労働省 用語の説明 (※3)大阪市行政不服審査会 令和3年12月8日付け審査請求裁決(答申第9号) (※4)横浜市 市営住宅だより「市営住宅では同一世帯同一生計を原則としているため、世帯を分離しての居住は禁止です」 (※5)うるま市 夫婦ですが、世帯を分けることはできますか 執筆者:酒井 乙 CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。
ファイナンシャルフィールド編集部