中小企業「賃上げ」は? 大企業“満額回答”続々も……広がる賃金格差、30歳で「月2万9000円」 「価格協議」で独自調査
日テレNEWS NNN
春闘は13日、集中回答日を迎えました。大企業では満額回答が相次ぎましたが、大手と中小の賃金格差は拡大。中小企業が価格転嫁して賃上げできるかが焦点です。中小企業が大企業に追随することで「今年半ばの実質賃金プラス」を予想する専門家もいます。
■「要求以上にアップ」の大企業も
有働由美子キャスター 「春闘集中回答日の13日、組合からの要求に対して大企業から満額回答が相次ぎ、要求以上にアップするという企業も見られました」 「大企業だけで見ると景気が良さそうですが、働く人の7割は中小企業です」 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「大企業の賃上げについて中小企業の経営者に聞くと、『このペースでずっと行くとなると息切れする可能性がある』『大手と格差が広がると思う』といった声が返ってきました」
■数字で見る中小と大手の「賃金格差」
小栗委員長 「実際、格差は広がっています。JAM 賃金全数調査(高卒直入者所定内賃金)で大手(1000人以上)と中小(300人未満)の月の賃金を比較すると、30歳では2000年は9307円の差でしたが、去年は2万9184円まで拡大しています。この傾向はどの世代でも見られます」 有働キャスター 「30代の月3万円はけっこう違いますし、大きいですよね。中小企業の賃上げをどう実現するかですよね」
■公取委から指摘を受けた13社に調査
小栗委員長 「それにはやはり、取引先に対して買ってもらう時に、賃上げの分なども上乗せする価格転嫁ができるかどうかです」 「今回、日本テレビは公正取引委員会から 2022 年に『積極的に取引価格を下請け企業と協議する場を設けていなかった』と指摘を受けた大手 13 社に対し、その後の取り組みについて独自に調査しました。そのうち 9 社から回答を得ました」 「9社とも、指摘を受けた後は取引先と価格協議を行ったと回答しました。一方で、その結果として取引価格を引き上げた対象を聞くと、「全ての企業で引き上げた」と回答したのは約半数の5社にとどまりました」 「引き上げなかった取引先があった理由については、『価格転嫁の要望にエビデンス、明確な根拠がなかった』『自分たちよりも上の取引先が引き上げてくれないと難しい』という回答がありました」