便秘で心筋梗塞になりやすく!最新研究で判明した“驚きのリスク”
便秘の人とそうでない人の生存率について比較した’10年のアメリカの研究によると、調査を始めて15年後には、便秘の人の生存率はそうでない人に比べて2割以上低下していたという。秘は生活の質を落とすだけでなく、命を脅かすリスクを高めることが、世界中の研究でわかってきているのだ。 「排便時の癖にも注意が必要です」 そう警鐘を鳴らすのは、これまで5万人以上の腸を診察し、『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)の近著もある松生クリニック(東京都立川市)の松生恒夫院長。 「便秘が突然死のリスクとなる原因の1つとして、排便時に強く“いきむ”ことが指摘されています。血管がしなやかで弾力のある若い人は、トイレでいきんでも血圧は上がりませんが、中年以降はいきむことで急な血圧上昇を招き、くも膜下出血や心筋梗塞などを起こすトリガーになることがわかっています。高血圧症や呼吸器疾患などの持病を抱えている人は特に注意が必要です」 呼吸器疾患のある人がいきむと、動脈中の酸素が急激に減少し、低酸素血症に陥ることもある。急な低酸素血症では、息切れ、皮膚や粘膜が紫色に変色するチアノーゼ、手足の冷えといった症状が現れ、症状が進むと命に関わるという。 「多くの人は何日も排便がない状態を便秘だと思っているようですが、回数だけでなく『出しにくさ』も判断材料になります。おなかの張りや腹痛などがあり、排便が週3回未満というのが便秘の目安ですが、このほかにも『強くいきまないと便が出ない』『便が残っている感じがする(残便感)』『1回で出しきれず何度もトイレに行く(頻回便)』『肛門に便が詰まっている感じがする』といった状態も便秘です。 毎日排便があっても出にくさを感じていたら、放置せずに快便を目指して生活習慣を見直しましょう」(松生院長) 松生院長が患者さんにおすすめしているのは、三度の食事をしっかり取るのはもちろん、1日に大さじ1杯のエクストラバージンオリーブオイルを取ること。 「エクストラバージンオリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸のオレイン酸は、一度に多く取ると小腸で吸収されにくくなり、大腸まで届きます。大腸の腸壁を刺激することで、腸のぜん動運動が促され、便秘の改善につながると考えられています。また、腸内の潤滑油として作用するので、便をすべり出しやすくするため、スムーズな排便を助けてくれるのです。大さじ1杯を三度の食事で分けるのではなく、一度に取るのがコツです」(松生院長) サラダにかける、パンにつけて食べるなどの取り方がおすすめだ。そしてもう1つは、水分を取ること。飲み物はコーヒーやお茶ではなく「水」がベスト。 「まだ汗ばむ陽気の日もありますが、発汗で水分が失われてしまうと、便に含まれる水分が不足し、排便にも支障をきたします。ふだんからお水を飲む、汗をかいたら余計に飲む、という習慣をつけましょう」(松生院長) お通じのストレスからも、重篤な病気のリスクからもスッキリ解放されよう。
「女性自身」2024年11月5日号