「在来かんきつ」の魅力発信を 鹿大島めぐり講演会 山本教授が起源や価値を解説
鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター主催の「奄美群島島めぐり講演会」が23日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。同大農学部教授兼同センター長の山本雅史氏が「奄美の宝、在来カンキツ」と題して講演。群島内のかんきつ類の起源や生活習慣病などへの予防効果、島民の暮らしに溶け込む文化的な価値を解説し、「在来かんきつを通した島の魅力・文化の発信を」と訴えた。 講演会は同大学の研究成果を島民に還元することを目的に2019年に開始。今回が25回目で、農業関係者や一般市民ら40人が聴講した。山本教授は果樹園芸学が専門。奄美群島を中心に長年、在来かんきつ類を研究している。 講演で山本教授はインドや中国を起源とするかんきつ類の種類や日本に古くから自生するタチバナとシークヮーサー、シークヮーサーが海外種と自然交雑し奄美の在来かんきつ類が生まれたことなどを紹介した。 奄美の主要かんきつであるタンカンについては、広く知られている認識の誤りを指摘。遺伝子を調べた結果、よく言われるオレンジとポンカン(インド起源)の雑種ではなく、オレンジと種は不明なマンダリン(ミカン類、中国起源)の雑種と考えられるという。 またシークヮーサー、タンカン、ポンカン、カーブチー(喜界ミカン)などの果皮に生活習慣病や認知症の予防などに効果がある成分が多く含まれていることや、近年香りや美白に注目したかんきつ類の研究や加工品展開が進んでいることなども紹介した。 龍郷町でカフェを営む里井つとよさんは「果皮をお店のお菓子として提供している在来かんきつが、イタリアのベルガモットの香りと似ており、その類似点がよく分かった。もっと詳しく知りたくなった」と語った。
奄美の南海日日新聞