ロボットタクシーは地域の「足」になれるか? 2020年の運行開始を目指す
東京五輪を契機に地域の「足」に
一方、実現に向けた課題として、中島社長は(1)技術の発展、(2)規制緩和、(3)社会の受容性、の3点を挙げる。(1)については、人間が運転する車よりも安全性を高めることを目指し、自動運転技術および車両の開発を急ピッチで進めるという。 (2)の規制緩和について、今の道路交通法は運転者の乗車が前提となっており、無人運転は想定外。これに対し、DeNAとZMPは昨年、安倍晋三首相が開いた「未来投資に向けた官民対話」の中でロボットタクシー実現に向けた環境整備を要請。安倍首相からは、2020年東京オリンピック・パラリンピックで無人自動走行による移動サービスや高速道路での自動運転を可能にすることと、2017年までに制度やインフラを整備する旨の回答を得た。 (3)の社会受容性では、無人の自動車が道路を走ることへの人々の抵抗感、不安感をどう和らげ、解消するかがテーマ。中島社長は、乗車体験イベントや説明会の開催、有名人による試乗の実施など、地道な取り組みが必要と考えている。
課題は多いが、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に運行を開始し、サービス提供エリアを順次広げたい考え。中島社長は、「東京五輪は、日本にとってチャンスです。2020年までに官民あげてロボットタクシーを実現することで、世界の人々に日本はすごいと思ってもらえます」として、五輪が契機になることを期待する。 各地に展開する際、中島社長は自社で進出するより、既存のタクシー会社と業務提携して車両や運行システムなどを提供する方が現実味があると考える。また、「重い荷物をトランクに入れてくれたり、相談しながら目的地を一緒に探したりといったことは、人が運転するタクシーならでは」と、ホスピタリティーの面で乗務員が運転する有人タクシーに分があると認めており、将来は有人と無人のタクシーが市場で共存すると予想している。 (取材・文:具志堅浩二)