あれから20年 アダム・スコットが“第5のメジャー”制覇を振り返る
大きな大会で勝ち切るのは難しい。14番でボギーをたたき、リードは1打か2打になり、さらに大きな重圧に襲われた。16番(パー5)で3打目をピンそばに寄せたが、バーディパットは普段なら入れて当然という短さだったのと、入れれば残り2ホールで3打リードだという考えが頭をよぎり、とても緊張した。結局そのバーディパットを外し、17番、18番でさらに大きな重圧を抱えることになった。 17番はウェッジで打てる短いパー3だが、これまでたくさんの悲劇が起きている。でもウェッジには自信があったし、安全にアイランドグリーンの真ん中を狙ったので比較的ラクな気持ちで打つことができた。とにかく目標通りパーで上がることができたので、あとは18番を無難に切り抜けるだけだった。 トップに立っている時に優勝を意識せず、前のめりにならないように気持ちを抑えるのは難しい。その点については、うまくコントロールできていたけれど、最終18番の2打目は番手間の半端な距離が残ったこともあり、どっちつかずの気持ちで打った6Iでのショットを左の池に入れてしまった。 罰打の後のアプローチはすごく緊張した。ただ当時はあまり得意でなかったけれど、あの週はしっかりアプローチを練習して準備はできていたんだ。何も考えず自分を信じて打った結果、ピンそば2.5mくらいに寄せることができた。最後のパットは、それほど緊張せずに打てたのを覚えている。それまでは手が震えるほど緊張したこともあったが、当時の自分にとっては、キャリア最大のタイトルを手にするためのパットだったし、これ以上ないチャンスだった。
あの頃はまだ米国に自宅がなくてね。夜は同じフロリダ州のオーランドに住むスチュアート・アップルビー(オーストラリア)の自宅に泊めてもらった。若かったこともあり派手にお祝いしたかったけれど、穏やかに終わったのは今思えば残念だったね。 でも、当時の自分の交際相手で現在の妻、そしてコーチのブッチ・ハーモンが一緒にいてくれたことで、自分のキャリアにおいて特別な瞬間になった。もしまた優勝できたら、20年前にお祝いできなかった分を取り返すくらい大騒ぎしたいな。