ロシア南部ダゲスタン襲撃の犠牲者20人に 地元首長、攻撃準備に「外国勢力」の関与を示唆
ロシア南部ダゲスタン共和国で、ユダヤ教礼拝所(シナゴーグ)や正教会が相次いで銃撃された事件は24日、死者数が少なくとも20人にのぼった。 攻撃から一夜明け、襲撃を受けた礼拝所には事件の生々しい傷跡が残っていた。 イスラム教徒が住民の多数派を占める同共和国は24日、武装集団が2つの主要都市で同時に襲撃した事件を受け、3日間の服喪期間を発表した。 ダゲスタンのメリコフ首長は次のように述べた。「今日はダゲスタンにとって、またロシア全体にとって悲劇の日だ。最大都市マハチカラとデルベントの宗教施設に対し、前例のない残虐なテロ攻撃が行われた」 メリコフ首長は、この攻撃を主導した組織を当局は把握していると述べた。また攻撃準備には外国勢力もかかわっていたと指摘した。だが同首長はこれ以上の詳細は明かさなかった。事件の犯行声明も出されていない。 事件は23日の夕方発生。自動小銃を持った襲撃犯らが、デルベントの正教会とユダヤ教礼拝所に侵入。教会の聖像に火をつけたうえ、正教会の司祭(66)を殺害した。 さらに北へ約120キロ離れたマハチカラでは、交通警察官の駐在所が銃撃されたほか、教会が襲われた。大聖堂の周辺で銃撃戦となり、夜遅くまで自動小銃の銃声が響いた。武装集団のうち少なくとも5人が死亡した。 ロシア連邦捜査委員会によると、犠牲者の大半は警察官だったという。 ダゲスタン共和国はカスピ海と黒海の間に位置し、コーカサス山脈のふもとで暮らす複数の民族や、様々な言語を話す地域で構成されている。 かねてから同地域で西側が分離主義をあおっていると非難してきたプーチン大統領は、犠牲者の遺族に哀悼の意を表した。 今回の事件により、ロシアがイスラム過激派の脅威に直面するのではないかとの新たな懸念が広がっている。 今年3月には首都モスクワのコンサートホールが襲撃され、145人が殺害されるという事件が発生。過激派組織イスラム国が犯行声明を出した。