ビザとマスターが決済手数料引き下げへ、加盟店は300億ドル節減
(ブルームバーグ): 米クレジットカード大手のビザとマスターカードは、加盟店などの事業者に課す決済手数料「スワイプフィー」に上限を設けることで同意した。20年ほど前から続く法的係争に区切りを付ける。事業者側には5年間で300億ドル(約4兆5400億円)以上のコスト節減が見込まれ、反トラスト訴訟の決着としては過去最大級となる。
事業者側の代理人が26日に発表した声明によると、ビザかマスターカードのクレジットカードを使う消費者に対し、小売業者は追加料金を会計時に請求でき、低コストのクレジットカードに顧客を誘導することが可能になる。この和解は裁判所の承認が必要だという。
和解の一環として、ビザとマスターカードは少なくとも3年間、各加盟店に課すスワイプフィーを最低でも4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げることに同意したと事業者側の弁護士は説明。また、5年間は独立監査人による審査に従い、両社のシステム全体のスワイプフィー平均を現在の平均より少なくとも7bp低くしなければならないという。
事業者側はビザまたはマスターカードの利用に対して消費者に課金できるようになり、異なるクレジットカードを受け入れるコストに基づく価格調整が可能になる。これは、高めの手数料を課すカードを使う消費者は、手数料を抑えたカードを利用する買い物客より会計時に多く請求され得ることを意味する。
原告側の代理人ロバート・アイスラー氏は声明で、「反競争的な拘束を排除し、大小を問わずすべての加盟店に有意なコスト節減を直ちに提供するという、われわれの目標は達成された」と和解を評価した。
「インターチェンジフィー」とも呼ばれるスワイプフィーをめぐる法的係争は、少なくとも2005年までさかのぼる。ビザ、マスターカード両社がかつての親会社である銀行から分離独立し、株式公開企業となる前のことだ。この手数料はカード発行銀行にとって重要な利益源であり、人気の高いポイントプログラムの原資となっている。