古本屋になりまへんか? 古書店開業講座の参加者募集。初心者も歓迎/大阪
「古本屋になりまへんか?」と呼びかける異色の講座が19日、大阪市内で開かれる。古本屋の店主たちが集まる大阪府古書籍商業協同組合の企画だ。商売敵を増やすことにもなりかねない開業支援セミナーが、業界団体主催で開かれるのは珍しい。意欲があれば、初心者でも受け入れ、店舗を持たないネット古書店での開業も後押しするという。
昨年の受講生から組合加入者が誕生
このセミナーは新古本大学講座実践編「古本屋になりまへんか?」。会場は古書組合が本部を置く大阪古書会館(大阪市中央区)だ。組合の会合に使われる他、組合有志がファンサービスを兼ねて古書即売会などを開催している。 古書組合が古書店開業をテーマに講座を開くのは、昨年に続き2回目。昨年、「古本屋のお仕事ってどんなん?」と銘打って開講したところ、150人が受講した。受講生のうち、数名が古書組合に加入するなどの成果があったことから、2回目の開催が決まった。 今年はより実践的な内容で古書店の仕事を紹介する。未経験で古書店を開業した若手店主の体験報告をはじめ、組合役員による古書組合の紹介、現役古書店主が語り合うリレートーク「古本屋のホントのところ教えます」などで構成。日ごろはなかなか聞けない生きた古書店情報を入手できそうだ。
新規開業者は30代から60代まで幅広く
なじみの古本屋に通い詰めた記憶の持ち主が少なくないだろうが、古書業界では近年、ネット併用販売や無店舗販売が増えてきた。講座を担当する古書組合企画部長で、松原書林店主の黒岡義昭さんが、次のように話す。 「最近の組合加入者の多くが、ネット方式による無店舗販売で開業しています。本が好きな方ばかりで、年齢層は30代から60代まで幅広い。意欲があれば初心者でも受け入れ、店舗を持たないネット古書店での開業も後押しします」 黒岡さん自身、店舗を構えず、松原市内の自宅を事務所にしてネット古書店を切り盛りしている。長らく商業カメラマンとして活躍した後、50代で古書店主に。写真集、詩集、幻想文学など、自前の蔵書コレクションをベースに古書店を始めたという。 「愛着のある本ばかりですから、最初は本が売れると、うれしくもありさびしくもあり、複雑な心境でした」と振り返る。今では新たに仕入れた書籍を、ネットと即売会で販売している。黒岡さんのような「蔵書で古書店開業希望派」が多いようだ。