ランチ代が5000円、「外食が高い国」デンマーク人にとっての「最高の贅沢」から分かった、ほんとうの「心地よさ」
デンマーク人が大切にする「ヒュッゲ」
北欧デンマークは、国際競争力2年連続1位(2022~2023年)、ビジネス効率性5年連続1位(2020~2024年)に輝く「ビジネス先進国」である。さぞかしスピード感を持ってテキパキと仕事をこなし、忙しい毎日を送っているのだろう、と想像するかもしれないが、デンマーク人の暮らしは、とてものんびりしている。 【写真】ランチ代が5000円、「外食が高い国」デンマーク人にとっての最高の贅沢 拙著『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHPビジネス新書)でも触れているが、生産性が高いデンマーク人の最優先事項は「安らぎを感じるプライベートタイム」である。デンマーク人は「ヒュッゲ(Hygge)」という心地良さを、日々の暮らしのなかで、人生を通して、とても大切にする。 デンマーク人にとって、大切な家族や親しい友人と一緒に過ごす時間以上に貴重なものはない。だからこそ、家族や親しい友人と過ごす時間をなんとしても死守するために、3週間の連休を含む年間5~6週間の休暇を取得し、週37時間を基本にして、効率的に働く。安らぎを感じるプライベートタイムが人生の最優先事項だからこそ、世界トップのビジネス効率性を実現しているのである。
心が満たされたひととき
では「ヒュッゲ」(心地良さ)とは何なのか。いま忙しく過ごしているあなたも、急いでこの記事を読み飛ばしているあなたも、ここで少し立ち止まってみよう。 あなたにとって「いいひとときだったなぁ」と思い出すような、かけがえのないひとときは、どんな時間だろう。目を瞑って、そのときの場面を思い浮かべてみてほしい。その場面には、心を開いて安心して話せる人の存在がないだろうか。そのシーンには、まるで時が止まったかのような、ホッと弛緩した空気が漂っていないだろうか。 気心知れた大好きな人と一緒にふらっと街を歩くとき、隠れ家のようなカフェに入るとき、みんなでこたつを囲んで蜜柑の皮を剥いているとき……。ゆったりとした時の流れのなかで一瞬一瞬が愛しく感じられる、そんな心が満たされたひととき。デンマーク人が何よりも大切にするのは、そういった時間である。