【高校サッカー選手権】実践学園、MF福田怜央の2発で国士舘を下し準決勝進出へ それでも「もっとやってもらわないと」内田尊久監督の厳しい声も
10月26日、第103回全国高校サッカー選手権東京予選2次予選のBブロック準々決勝4試合が清瀬内山Bで行われ、実践学園と国士舘が対戦した。高円宮杯JFA U-18サッカーリーグ東京1部リーグ(T1)同士のカードは実践学園が2-1で国士舘に勝ち、準々決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】実践学園 vs 国士舘 先制は実践学園。前半15分、MF8山崎良輔(3年)のパスを受けたDF4冨井俊翔(3年)が右サイドから突破して中央にクロス。これをMF21福田怜央(2年)が押し込んでゴール。均衡を破った。さらに前半28分には、右サイドMF8山崎のクロスに中央MF11岩崎蒼平(3年)がシュート。このこぼれ球をMF21福田が決め、追加点を挙げた。 一方、国士舘は中盤のMF8秋山基一(3年)がチャンスメイクするとキャプテンマークを巻いたFW7島田龍(3年)が前線に何度も顔を出し、ゴールに迫った。前半、チャンスの数は双方、ほぼ同じ回数だったが、決定力で上回った実践学園が優位にゲームを進めた。 1点を返したい国士舘は後半7分、FW9 高橋遥久(3年)が決定機を作ると、続く8分、カウンターから右サイドを突破したMF21込宮空輝(3年)がそのまま決め、1点差に。さらに9分には右サイドから進入したMF21込宮がマイナス方向にパス。これをMF10大関流生(3年)がミドルシュートと立て続けにチャンスを演出。12分にFW7 島田が放ったシュートは相手GKに阻まれた。21分にはサイドチェンジから、22分はカウンターとセットプレーから迫った。 その後、攻めつ守りつのオープンな展開に。実践学園、国士舘ともに互いの右サイドから攻略を試みながら、セットプレーなどで好機をうかがうも、最後は実践学園が競り勝った。 実践学園・内田尊久監督は「前半は自分たちのやりたいことができました。国士舘さんのパワーに押され、1失点しましたが、ゼロで抑えないと、次の試合はなかなか厳しいです」と総括した。 一方2得点を挙げたMF21 福田は、1点目は練習通り。2点目は「運よくボールが転がってきただけです」と控えめに語った。そのなか目に留まったのは1点目をアシストした右サイドバックDF4冨井の突破力。単発ではなく何度も力強い無尽蔵のドリブル突破を見せた。DF4冨井について内田監督は「コンスタントにきょうくらいのプレーはできます。前に出られる展開になると(冨井の)攻撃参加が活きてきます。3年間、試合に出ていたので、これまでの経験値が活きたと思います」と活躍の要因を示した。 さらに同じ右サイドで2点目の起点となったMF8山崎とのユニットはチームの大きな武器。DF4冨井は「山崎が相手をひきつけてくれたのでスペースが生まれました。(そのスペースに)自分の走りを活かして、チャンス作れたのは大きかったです。(MF8山崎とは)この1年間、磨き上げてので、いい感じに崩せました」と胸を張るとともに「後半途中、悪い雰囲気があったので誰よりも走って、盛り上げていこうと思いました」と勢いをもたらす快足を見せた。 DF4冨井の言う、『後半の悪い雰囲気』を断ち切ったのがGK1樋口暖人(3年)。後半、2度の決定機を防ぎ、ナイスセーブを見せた。その原動力は敗戦の苦みと反省だった。 GK1樋口は「T1リーグの前期、国士舘と対戦した際、4失点で負けてしまい、悔しさが残っています。(※T1第9節 国士舘4-1実践学園)しかも開始早々の失点だったので、(今回は)前半立ち上がりから集中して1本でも絶対止めようとしました。国士舘はとにかく前へ前へのチームなので、最後まで集中を切らさないよう、守備陣に声をかけました」とキッチリ、借りを返した。 昨年ベスト8で敗れた実践学園だが、ひとつ壁を乗り越え、準決勝に進んだ。しかし指揮官に喜ぶ様子はなかった。 「(試合に出る選手は)部員180人を代表して、ピッチに立っているので、もっとやってもらわないといけない。出られない彼らのためにどれだけ戦えるのか、そこしかないので」と内田監督。試合に出る選手とともに、その選手を選ぶ内田監督自身が抱く責任の重さも感じられた。 なお、実践学園は11月10日、西が丘サッカー場で駒澤大学高等学校とベスト4をかけて戦う。 (文・写真=佐藤亮太)