「誹謗中傷する人は『鬼滅の刃』の悲しい鬼と同じ」田村淳さん【あなたのSNSディスタンス】
「誹謗中傷は駄目だ駄目だ」と言ってもなくなりゃしない
――誹謗中傷をする人はどんな方だと思いますか? 田村淳さん: 自分の言葉を誰かに聞いてほしい。聞いてほしいときに優しい言葉を投げかけても相手にされないから、ちょっとでも辛辣なコメントをして目立つようにして、自分という存在を見てほしいという人が、そういうことをやってるんだと思います。 いま『鬼滅の刃』というアニメが大ヒットしてますけど、あの鬼の描き方。SNSでも、どうしようもなくなった自分の悪が行き場を失ってしまって、そのまま人間じゃなくなってしまった“悲しい鬼”、というふうに僕は捉えるようにしてる。そうやってみると、悲しいんだよね。悪いことをしているから注意しないといけないし、退治しないといけないんだけど、そっち側の苦しみを知ると、退治の方法もどうすればいいのかなと。今まで「誹謗中傷は駄目だ駄目だ」と言ってもなくなりゃしないんだから、僕の中で一つ歩み寄れたという感じはありますね。『鬼滅の刃』という作品を通して。
2020年はネガティブワードよりもポジティブワードのほうが多かった
――SNSとうまく付き合っていく方法とは? 田村淳さん: 「#Twitterトレンド大賞」という、年に1回、年末にどんな言葉が数多くつぶやかれたかという番組をやっています。Twitterのデータをひも解いていくと、2020年はコロナが多かったのですが、その中でポジティブなキーワードかネガティブなキーワードかを振り分けると、総数としてはポジティブワードのほうが多かったというデータがありました。僕はそのデータがすごく好きなんです。 みんな気づかないけど、SNS上にはポジティブなワードが溢れてて、ポジティブな使い方をする人がたくさんいるのに、そっちに目を向けられてないということ。僕自身もだけど、自戒の念も込めて、改めてSNSというのは向き合い方、考え方、視点を変えるだけですごくいいものになるというふうに感じたんで、そこは拾う練習をしなきゃいけないかなと思います。ポジティブな場所どこだろうと。 今回も「緊急事態宣言を楽しもう」みたいなハッシュタグがもう生まれていた。飲食店の人がそれを見たら「いまこんな時に何言ってるんだ」と、そういう辛辣なコメントにどうしても目がいきがちだけど、「もうすでに楽しもうとしてるぞ」という場所を自分からアンテナ張って、自分から進んでいく、という行動を取らない限りは、そういう場所にいけない。 緊急事態宣言で自由を制限されているけど、SNS上の制限は僕たちは受けてないので、自分でポジティブな場所、ポジティブなキーワードを探して、自分もそれをどうやったら楽しめるかを考えたほうがいいと思います。