とにかく自分が嫌いだった…から10年 南沙良22歳の現在地「“新しい”は大好き」
22歳にして芸能生活10周年となるのが俳優の南沙良。頭の先からつま先までコンプレックスの塊だったという少女が、自分ではない誰かになりたくて飛び込んだ俳優の世界。節目の年に南は何を思うのか。 【映像】横浜流星とのベッドシーンも…南沙良が“大人の女性”役に挑戦 今年2024年は大河ドラマ『光る君へ』、『外道の歌』と話題作に出演。いい形でアニバーサリーイヤーを締め括れている。「10年はあっという間でした。学生時代は学業との両立もあったので一生懸命。今も一生懸命さは変わっていないので、時間の流れは本当に早いです」と実感を込める。
第18回ニコラ モデルオーディションでグランプリを受賞したのが12歳の頃。モデルになるためではなく、俳優になるためにエントリーしたのがきっかっけだ。 「私は学校でも目立たず、いつも端っこにいるような子でした。小さい頃からとにかく自分の事が嫌いで、ずっと違う人になりたいと思っていました。テレビや映画を観ていく中で俳優業という仕事を知って、周りに『女優になりたい!』と言い続けていたら、ニコラのオーディションを見つけて来てくれたんです」 栗山千明、新垣結衣、川口春奈…。ティーン雑誌『ニコラ』から巣立った俳優は多い。南も映画デビュー作『幼な子われらに生まれ』(2017)で高く評価され、映画初主演作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018)では数々の映画賞を受賞。ニコラ専属モデルが映画賞を受賞したのは初の快挙だった。 夢と現実には少なからず乖離が生まれそうなものだが、南は「それが全くなくて、最初から一つ一つの全てが楽しかった」とデビュー作の段階で天職だと実感。「自分ではない誰かになれるのは凄く楽しい。別人を演じている時は自分の事について考えなくて済む。それがとても楽でした。自分とかけ離れたキャラクターだったらより一層楽しむことが出来る」
10周年目は挑戦の年でもあった。12月9日から配信となったドラマ『わかっていても the shapes of love』では、オトナな恋愛にハマってしまう26歳の女性に挑戦。「今回の大人っぽい美羽もそうで、新しい事に挑戦することの多い1年でした。情報解禁前の作品も含めて、今まで演じたことのない新しい役柄が多かったです。新しい事に挑戦する事への不安以上にワクワクが勝る。“新しい”は大好き」 12歳の頃に想像していた10年後の未来とはずいぶん違うという。「もっと高貴な、エレガントな大人になりたいと思っていたけれど…。まだまだ私は子供」。だがコンプレックスの塊だったという後ろ向きの少女の面影は消えている。「2025年はもっともっと新しい年にしたいです。もっと違うジャンルの新しい事に挑戦してみたい。体力に自信はないけれど運動は嫌いではないのでハードなアクションに初挑戦してみたいです。悪役も面白いかもしれないし、コメディにも興味があります。…でも陽キャは不安かも?」 新しい引き出しを更新し続けた先に、本当の自分を認められる自信が養われていくのかもしれない。心の中にあるバケツを自信で満たすために、南は改めて演じ続けていくことを誓っている。 取材・文:石井隼人 写真:You Ishii