【毎日書評】仕事がうまくいかない、仕事がつらいとき…スッと心が軽くなる「シンプルな考え方」
どんなときにも、余裕を持っているように見える人がいるものです。トラブルが発生しても慌てず、商談がうまくいかなくても落ち込まず、時間に追われてもイラつかず、常に落ち着いていて、最後には結果を出してくるというような──。 『人にも自分にも振り回されない 動じない心のつくり方』(枡野俊明 著、SBクリエイティブ)の著者によれば、そういう人は「動じない心」を持っているのだとか。ただし特別な能力が必要なわけではなく、動じない心は誰にでもつくれるそう。意志の強さも、性格も、才能も必要ないというのです。 「動じない心」をつくるたった一つの方法、それは、物事をシンプルに考えることです。悩みを抱えたり、周りの影響を受けたりするのは、多くのことを同時に考えすぎているからです。 例えば、商談が上手くいかないと落ち込むのはどうしてでしょう。周り方の評価が下がるから? それとも、自分の能力が発揮できなかったからでしょうか。できなかった自分への怒りもあるかもしれませんね。 「動じない心」を持つ人は、そのようなことは考えません。 彼らは、今やるべきことだけを考えています。目の前にある仕事を積み重ねていけば、最後には本当の成功にたどり着くと信じているのです。(「まえがき」より) とはいえ頭でわかっていても、それはなかなか実行できないことでもあります。気がつけば余計なことを考えてしまっていたり、「シンプルに考えるとは、どういうことか?」と考えすぎてしまったりするものだから。 そこで著者は、そういう方に向けて本書を執筆したのだといいます。特徴的なのは、「働き盛りの方々が日々抱えやすい問題に答える」というQ&A形式をとっている点。そのため、読者は無理なく読み進めることができるわけです。 とはいえ、ここに示されているのは、あくまでひとつの答えにすぎないようです。著者の基盤となっている禅の教えは、答えをはっきり示すものではないからです。しかし読者にとっては、自分なりの答えを探すきっかけになるはず。 そんな本書の第2章「仕事を考える いつも『いい働き』ができるために」のなかから、2つの悩みと答えを抜き出してみましょう。