【毎日書評】仕事がうまくいかない、仕事がつらいとき…スッと心が軽くなる「シンプルな考え方」
Q:仕事で能力が発揮できません
A:目の前のことに全力で取り組む 人間は誰もが、純粋無垢な心をもって生まれてきます。仏教の世界にも、「汚れのない状態で、心に仏様を持って生まれてくる」という考え方があるのだそうです。それは、他人の目を気にすることなく、自分の心に正直に生きているということ。つまりは、本来の自分の姿であるわけです。 ところが大人になるにつれ、人は色眼鏡で他人を判断するようになりがちです。肩書を持った人に取り入ろうとしたり、劣っていると思う相手に対しては高飛車な態度をとったりする。常に損得勘定で関係性を築こうとしがちであるわけです。 そういう行動になるのは、自分よりまわりの評価ばかりを気にしているから。しかし、それは本来の自分らしくはなく、とても不自然なことでもあります。大切なのは、まわりの評価に流されず、本来の自分と向き合うことなのですから。 ただし、そうはいっても組織で仕事をしている限り、上司の評価を無視するわけにもいきません。「これこそ本来の私です」と主張したところで、認められなければどうにもなりません。では、どうすればいいのでしょう? それは、いま目の前にある仕事に全力を尽くすことです。 いま自分がやっている仕事、その仕事がやりたいかやりたくないかは、関係がありません。向き不向きも関係ない。とにかく全力でそれに立ち向かうこと。 子どもの頃のように時間も忘れて夢中になる。結果なんて考えず、ただ目の前のことに集中する。その集中力が、あなたの能力を引き上げてくれるのです。(78~79ページより) 本来の自分を見失ってはいけないと著者はいいます。自分に与えられた能力を過小評価するべきでないとも。さらに重要なのは、誰かとくらべることよりも、自分は唯一無二の存在であることを自覚すること。 すなわち生きるとは、自分自身を楽しむことだというわけです。(76ページより)
Q:仕事がつらくて仕方ありません
A:自分が主体となって仕事に取り組む 著者は僧侶である一方、若いころからデザインが好きだったのだといいます。とくに空間をデザインすることに興味を持ったため、趣味として取り組んでいたそう。しかし、そのうち自然と依頼が増えていき、ある時期から職業として取り組むようになったのだそうです(現在は曹洞宗徳雄山建功寺住職であると同時に、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授という肩書きもお持ちです)。 とはいえ当然ながら、住職の仕事もおろそかにするわけにはいかないでしょう。事実、深夜までデザインの仕事をすることも多いようですが、どれだけ遅くに寝ても、必ず朝の5時には起きて朝のお勤めをしているのだといいます。なぜならそれは、僧侶として欠かすことのできないものだから。 あまり忙しいので、よく身体がもちますねと、いつも言われます。 なぜそんな生活ができるのか。それは、私がデザインも僧侶としてのお勤めも、主体的にやっているからです。 もしもどちらか一方でも「やらされている」と感じたとしたら、その瞬間に投げ出しているでしょう。(85ページより) そのとおりで、仕事は「やらされている」と感じれば、すぐにつらくなるもの。実際に「上司の命令だから」「締め切りがあるから」やっているとしても、どうせやらなくてはいけないなら、自分自身が主体となって取り組むべきなのです。そうすれば、仕事というものはどんどんおもしろくなっていくのです。 自分自身が主体となって生きる。それが禅の考え方です。すべての人間は、自分自身が主人公。他人の人生を生きているのではなく、みんな自分の人生を生きているのです。このことを常に忘れてはいけません。(86ページより) 他人の人生と比較したところでなにも生まれませんし、自分の人生の主役は、ほかならの自分自身だからです。(84ページより) すべての禅語や問答は、人生のヒントとなる多くの知恵を示しているもの。ただし結局は、そのヒントのなかから自らが学び、気づき、活かしていくしかないのだといいます。自分なりの答えを見つけ出すためにも、本書を参考にしたいものです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: SBクリエイティブ
印南敦史