「政府支援」なくしてEV普及は望めない フォード代表、制度見直しと減税を要求 英国
新政権の歳出見直しに期待
欧州におけるEV販売の鈍化を受け、フォードの現地部門責任者は購入補助金や減税措置を講じない限り、政府の掲げるゼロ・エミッション目標を達成できないと指摘する。 【写真】鮮やかなイエローボディが似合うスタイリッシュなクーペSUV【フォード・カプリを写真で見る】 (17枚) 英国フォードのマネージング・ディレクター(MD)であるリサ・ブランキン氏は、英国政府に対してEVの消費者需要を刺激するインセンティブを導入するよう求めた。今月末に発表される新政権の予算案に組み込ませたい考えだ。 英国政府は国内で新車を販売する自動車メーカーに対し、ゼロ・エミッション車(ZEV)の販売比率を22%以上とするよう求める「ZEV義務化」を導入している。比率は年々上昇し、2030年には80%とする計画だ。目標未達のメーカーには高額の罰金が課せられる。 しかし、これはインセンティブがあって初めて成功するものだとブランキン氏は言う。 「消費者の需要を促進するためには、インセンティブが必要なのです」とブランキン氏は語り、レイチェル・リーブス新財務相が10月30日に発表する最初の予算案がそのチャンスであると強調した。 ブランキン氏によると、法人向けなどのフリート市場におけるインセンティブはEV需要を喚起できることが示させており、同分野での今年の需要は35%を超えているという。個人向けの消費者市場では、EVの需要はまだ10%を下回っている。 英国フォードは、英国自動車製造販売者協会(SMMT)の呼びかけを支持している。新車EVの付加価値税(VAT:日本の消費税に相当)を3年間、20%から10%に半減するというものだ。 「インセンティブがなければ、目標達成は難しいでしょう。ですから我々は顧客へのインセンティブを求めているのです」 ブランキン氏はまた、2025年3月に終了予定のプラグイン・バン助成金(CO2排出量50g/km以下の小型商用車の購入費用に5000ポンドを補助)を延長するよう政府に求めた。 「現在あるインセンティブは機能しており、継続が求められます」 ブランキン氏の3つ目の希望は、ZEV義務化を見直すことである。EVの普及が2030年の目標に向かって一直線に進んでいないという事実を認識し、制度を再構築するというものだ。 ブランキン氏は、この制度の最終的な2030年目標は維持しつつ、ハイブリッド車も対象とするよう再構築し、自動車メーカーの適応と市場需要の喚起を待ち、2026年まで罰金を一時停止することを望んでいる。
マーク・ティショー(執筆) 林汰久也(翻訳)