漁網リサイクルの“ネットプラス”で渋谷にパブリックアート 海洋問題を考えるきっかけに
一般社団法人SWiTCHは、渋谷駅東口広場で海洋問題をテーマにしたパブリックアートを31日まで展示する。一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントと取り組む環境活動の一環。同スペースでは豊田通商の協力の下、漁網のリサイクルナイロン生地“ネットプラス”用いたオブジェを展示し都市生活と海洋問題の関係性を啓発する。 【画像】漁網リサイクルの“ネットプラス”で渋谷にパブリックアート 海洋問題を考えるきっかけに
SWiTCHはロンドンでサステナビリティを学び、COP26日本ユース代表も務めた佐座槙苗が2021年に立ち上げた。現在Z世代を中心に約20人のメンバーが所属し、環境教育やコンサルティング事業を柱に活動する。今年4月に「渋谷から環境問題を世界に向けて発信すること」を目的に渋谷駅前エリアマネジメントと協定を結び、渋谷駅周辺のサイネージなどを活用して環境問題を訴える動画の放映や、近隣の小中学校を対象に海洋問題にまつわる特別授業などを実施してきた。
巨大なプランクトンのオブジェを製作
今回のパブリックアートは、SWiTCHに所属する25歳の若手アーティストでロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ卒の佐座レミが企画し、巨大なプランクトンをイメージしたオブシェを製作した。製作には文化学園文化ファッション大学院大学の卒業生らも参加した。素材に用いた“ネットプラス”は、米ブレオ社が開発・製造するリサイクルナイロンで原料にはチリで回収した廃棄漁網を活用している。なお今回使用した生地は展示後も資源として活用予定だという。
佐座レミは「渋谷川の真下に位置するこのスペースは、海とのつながりを感じてもらいやすいはず。すでにプランクトンの体内でもマイクロプラスチックが発見されたという報告もある。食物連鎖の最下層に位置するプランクトンを題材にすることで生態系全体との関連性や人間の社会活動が小さな生き物に与える影響を想像するきっかけになってほしい」と話す。
また23日には、「海と人間の共存の未来」と題したトークショーを渋谷スクランブルスクエア15階で開催する。豊田通商サステナブルファッション部の担当者や“ネットプラス”を採用する「パタゴニア(PATAGONIA)」の担当者、日本で廃棄漁網の回収および“ネットプラス”の製造を行うエランゲ代表取締役らも登壇し、“ネットプラス”をいかに普及させていくか、社会課題をどうビジネス化していくかといったテーマに触れる予定だ。