「悪口が書かれた義父のメモを見て」娘を連れて家出した高橋里華が義父母の介護に戻ってきた理由
毎日必死に頑張っていたけれど、義父のメモ書きを見た途端、気持ちがすっかり折れてしまって。「このままじゃダメだ」と思い、長女と愛犬を連れて妹宅に家出することを決意しました。
■自宅に戻ってから伝えた言葉に「義父母が喜んでくれた」 ── 家出中は、どのように過ごされたのでしょう? 高橋さん: 突然押しかけたにも関わらず、妹はたくさんグチを聞いてくれました。妹の家にいる間、私が家事をやらせてもらったのですが、みんなが「ありがとう」と喜んでくれるから、楽しく家事ができました。
そのとき、「同じように家事をしているのに、どうして義父母には感謝してもらえないんだろう?」と思って。自宅と妹宅での違いを考えてみたら、妹宅では「みずからすすんで」家事をしているけど、自宅では「やらされて」いることに気づきました。 ということは、自宅でもすすんで家事をすれば、義父母も自分も気持ちよく過ごせるかもしれないと思って。それから家に帰って、義父母の得意分野の家事を教えてもらうことにしました。
── その発想の転換は、なかなかできないです。帰宅後はいかがでしたか? 高橋さん:「家事のやり方を教えてください!」とお願いすると、ふたりはとても喜んでくれました。義母はお料理が上手だったので、出汁の取り方といった料理の基本から、郷土料理の作り方まで、義父からはお掃除や整理整頓のしかたを教わりました。 最初の3か月くらいは、子どもをおんぶしながら慣れないことを教わるので、本当に大変でした。でも、少しずつ手際がよくなって時短で動けるようになり、家事を楽しめるようになったんです。
■「カニがお尻をつねっている」に正論で返す必要はない ── その後、義理のお母さんが旅立たれ、義理のお父さんの認知症が悪化します。 高橋さん:義父は亡くなった義母を探すことが増えました。だけど、たまに認知症になる前の優しくて真面目な義父に戻る瞬間があるから、「ばあばは、出かけたよ」なんて嘘でごまかしたら、後々つじつまが合わなくなるんです。 かつての義父に戻る瞬間のために、「ばあばは、亡くなったでしょ?」「『あまり早くこっちに来ないでね』って言ってたよ」と説明すると、「そうだったね」と理解してくれました。