#4 空前絶後の捜査本部…140名の捜査員が追った長官銃撃事件のホシ 地取り捜査で浮上した不審者情報
地取り班「地の1」
「地取り班」は、「地の1」がアクロシティの現場となったEポートと隣のFポート周辺、「地の2」がAからDポート周辺、「地の3」がアクロシティ外周部を、そして「地の4」がさらにその外側から西の明治通り、南の南千住商店街、東側の日比谷線に至るエリアの住宅街の聞き込みを担当した。 地取り班の各捜査員には、「犯行時間帯に不審者を見なかったか、最近不審な人を見なかったか」と限定的に聞くのではなく、「犯行当日の一日の行動、どこを通って、誰に会ったか教えて下さい」、あるいは「事件当日から数日を遡って変わった人がいなかったか思い出して下さい」といったように、丁寧に時間をかけて不審人物を思い出させるよう徹底的に指導された。 発生初日から始まった動態捜査は、事件発生時間である午前8時半を起点として、前後2時間(午前6時半から午前10時半まで)、長官が撃たれた犯行現場を中心に、交差点、路地裏などに検問所を向けて、通行人や車を片端から停めては聞き込みが行われた。 すると事件発生前後の犯人と思しき不審人物に繋がる有力な情報が多く集まってきた。 【秘録】警察庁長官銃撃事件5に続く 【編集部注】 1995年3月一連のオウム事件の渦中で起きた警察庁長官銃撃事件は、実行犯が分からないまま2010年に時効を迎えた。 警視庁はその際異例の記者会見を行い「犯行はオウム真理教の信者による組織的なテロリズムである」との所見を示し、これに対しオウムの後継団体は名誉毀損で訴訟を起こした。 東京地裁は警視庁の発表について「無罪推定の原則に反し、我が国の刑事司法制度の信頼を根底から揺るがす」として原告勝訴の判決を下した。 最終的に2014年最高裁で東京都から団体への100万円の支払いを命じる判決が確定している。
上法玄