那須川天心に挑戦表明の現役プロ中村優也が豪語「ルール次第で7、8割の確率で倒せる」
2月9日にはフィリピンでWBA暫定世界バンタム級王者のレイマート・ガバリョ(21、フィリピン)とノンタイトルの10回戦で対戦し、2ラウンドでTKO負けした。同正規王者は井上尚弥である。中村は初回から一か八かの殴り合いを仕掛けたが、大ぶりのフックにカウンターを食らって何度もダウン。最後まで立ったが試合を止められた。 「世界王者と試合をやって実力差を感じました。実力はまだまだなんですが、自分のやってきたことには誇りをもっています」 海外のプロモーターやマネジャーに名刺を配り、メールやSNSを使って自ら英語でやりとりをしながら試合を決める。治安の悪い街では、暴漢に襲われたり、計量後に下剤を盛られたり、そういう“世界のサバイバル”を乗り越えてきたプロとしての自負がある。 「売名と言われれば売名かもしれません。でも日本のプロボクシングのシステムに疑問を持つフリーというボクサーの存在を知って欲しかったんです」 だから1000万円の賞金もどうでもよかった。 「興味ないです。別にお金には困っていません。今は将来のことも見据えて介護の仕事も週に2、3回していますが、年間3、4試合やれば十分に食っていけるんで。ただ1000万円があれば、ボクシングの団体や海外コミッションとのパイプを作ることに使えます。後輩のために、これからやっていかなくちゃいけないことだと思っているんで」 AbemaTVの募集要項によると、4月に1次、2次選考が行われることになっている。ただ、こういう注意書きもある。 「選考は独自の基準にて、AbemaTV番組スタッフにより実施させて頂きます。ご了承下さい」。 おそらく中村が挑戦者に選ばれる可能性は薄いだろう。 だが、中村は、こうも言う。 「まあ天心はアクションを起こさないでしょうね。たとえ挑戦が受けられなくても天心が逃げたとは思いません。どうせAbema側が大人の事情で決めるんでしょうから」 選手の安全、健康管理面を統括できる組織の下で行われるわけではないボクシングマッチが企画された時点で、これがエンターテイメントであることはわかっているが、どこまで真剣にボクシングと向き合う企画なのか、挑戦者の選び方を見れば、その本質がわかるだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)