「1日15分の運動」で健康状態が大きく改善する可能性が明らかに【最新研究】
<体力、活力、睡眠の質、気分も改善。職場が運動促進の場として理想的な環境である理由について>
毎日15分の運動が体力、活力、健康、睡眠、そして気分に大きな影響を与える可能性があることがオーストラリア発のウェルネスプログラムで明らかになった。 【動画】アメリカ国立老化研究所が進める「15分間エクササイズ」 オーストラリア、ニュージーランド、イギリスの73の企業に在籍する1万1575人の従業員が「15分チャレンジ」という職場の健康増進プログラムを使用し、週ごとの活動レベルを85分増やした結果、次のようなメリットが判明した。 「この研究では、1日にわずか15分の運動が人々の健康とウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)に大きな違いをもたらすことがわかりました」と代表研究者のベン・シン氏は述べる。 プログラム開始から6週間後、参加者の95%がWHOの「身体活動および座位行動に関するガイドライン」を満たす、もしくは上回る結果となった(満たした参加者が36%、上回った参加者が56%)。また、体力(14%)、活力(12%)、全体的な健康(8%)、睡眠の質(8%)、気分(7%)の改善も報告されている。 アメリカ保健福祉省(HHS)は、週に少なくとも150分(2時間30分)の中強度の有酸素運動と筋力強化運動を推奨している。 アメリカ保健福祉省(HHS)の2018年の報告書によると、アメリカの成人の約80%がこのガイドラインを満たしておらず、運動不足が年間約1170億ドル(約17兆円)の医療費増加につながっていることが指摘されている。 今回、この「15分チャレンジ」の参加者は平均して週に85分の身体活動レベルをアップさせ、1日に約45分間の運動をするようになった。 「15分という目標は、特に座りがちな生活を送っている人々にとって手軽に始めやすいものです。ハードルも低く、定期的な運動習慣をつくることに役立ちます。職場健康プログラム『15分チャレンジ』がきっかけとなり、多くの参加者がガイドラインの最低目標を超える結果となったのです」とシン氏は述べる。 また、共同研究者であるキャロル・マーハー教授は、このプログラムが参加者のモチベーションを高めることに成功した理由は、ゲームであったことと語る。 「切磋琢磨することでチームメイトを励まし、責任を持たせることが『15分チャレンジ』の肝です。それが参加者のモチベーションを高め、つながりを維持するための重要な要素です。 このプログラムでは、チームでの協力が奨励され、ランキングを追跡し、累積運動量を表示します。達成度が明確に記録され、成功を祝福し合います。人々が協力し、楽しみながら取り組めるツールなのです」 成人の多くは起きている時間の大半を仕事に費やしているため、職場は運動促進の場として理想的な環境であるとシン氏は述べる。そして先のマーハー教授は次のようにも述べる。 「運動不足の解消はすべての人の責任です。ですから雇用主が費用対効果の高いシステムを導入して従業員をサポートできれば、ウィンウィン(win-win)です。身体的に元気な従業員は生産的で満足度が高く、ストレスも少なく、病気にもなりにくくなります。このように持続的に計測できるアプリのようなものが従業員の健康とウェルビーイングをよく変えるのであれば、雇用者は検討すべきです」
ハティ・ウィルモス