西武のおかわり君は、なぜ本塁打を量産するのか
おかわり君のホームランが止まらない。5日の千葉ロッテ戦で、西武の中村剛也(32)が、2-0で迎えた3回に3試合連続となる25号ソロを右中間スタンドまで運んだ。楽天戦で、日ハムの中田翔(26)も22号を放っていたが、3本差はかわらず、打点も79に伸ばした。打率も.291まで上昇してきた。 本塁打は46本ペース、打点は145点ペースで落合博満が、ロッテ時代の1985年に作った146打点(130試合)の最多打点記録も視野に入ってきた。それでも「まだまだ」と満足していないのだから恐ろしい。ホームランを打っておいて首をひねるシーンもよく見る。 「おそらくミスショットして、ホームランになったんでしょう。僕なんかは、100パーセントベストのスイングができたときにホームランになっていたが、彼の場合、そのホームランになる範疇が広い。つまりマン振りしないので、多少ミスショットしてもホームランになるのでしょう」とは元千葉ロッテの里崎智也氏の見方。 では、おかわり君の量産の秘密はどこにあるのか。 里崎氏は、そのスイングに秘密があるという。 「おかわり君は、ホームランも三振もヒットもすべてのスイングが変わらないんです。どのボールに対しても一緒のスイングは、なかなかできません。つまり崩されていることがないという証拠。しかも体の近くでバットが巻きつくようなスイング。必然、ボールを捉えるホームランゾーンが広くなる。ボールを点ではなく、典型的に線で捉える打法です。秋山もそうですが、線でとらえ、バットが体の近くで回ってくるので、インサイドも苦にしない。またフルスイングじゃないので、当然、ミスショットも減ります」 以前、インタビューした際、おかわり君は「フルスイングではなく、7、8割の感覚で振っている」と、脱力打法がその根本にあることを明らかにしていた。構えている際、右手はほとんど添えているくらいだが、インパクトの瞬間、強く押し込む。この右手の押し込みが、右方向への本塁打を増やしている。統一球が再び飛ぶボールに戻ってからは、ポイントがやや近くになり、変化球への対応力が増したのも特徴である。 「ストレート狙いの変化球対応」という理想の待ち方でもホームランにできていて、25本のうち、ストレートが8本で、5日のロッテ、大嶺のチェンジアップを仕留めたものを含めて17本が変化球。三振が99と多いが、それも崩されての三振ではないから、打率も.291と例年にない高打率をキープしている。 また通常、おかわり君のような大型タイプの打者は不得意とされているインハイにも高い打率を残していて、本塁打も9本がインサイドだ。