長野など観光県で「きれいな公衆トイレで誘客」作戦 汚いイメージ一掃へ
「きれいなトイレでおもてなし」と、観光地のトイレを一定基準で認定してにぎわいに生かそうとする試みが地方自治体に広がり始めています。高知県や長野県ではすでに数十~数百か所を認定し、市町村などの関心も高まりつつあります。観光地の印象を左右しやすいからこそ清潔で便利にと、これまで周囲の関心が薄かったトイレが一躍誘客作戦に加わることになりました。 【写真】もう汚くない?「女性向け」キレイになった関西の駅トイレ
県が認定制度、洋式化や水洗化などチェック
「子どもは和式トイレに慣れていないので、洋式便器があることが第一ですね」 長野県が認定した公衆トイレの一つ、中野市の一本木公園東トイレに幼児を連れて訪れた長野市の40代会社員女性は、こう感想を語りました。「汚れがないことが一番。ここのトイレはハンドソープが備えてあってよかった」と、清潔で使い勝手が良く、好印象だったようです。 2年前から「認定トイレ」に取り組み始めた長野県。「信州まごころトイレ」と銘打って観光地の公衆トイレを管理する市町村などを対象に募集し、これまでに54か所を認定しました。初年度の募集では7か所の認定にとどまりましたが、2年目の2015年度は47件に増加。観光行政の一環として市町村の注目度が高まっています。
長野県が示す認定基準は(1)施設の基準、(2)清掃の基準、(3)きれいなトイレを維持するための取り組み――の3点。施設の関係は「洋式化や水洗化、清潔な床面の整備、明るい照明」などをチェックし、清掃基準では「目立った臭気や汚れがない」など。維持の取り組みでは県が毎年開いている研修会への参加などをカウントします。 この一本木公園東トイレは、公園の隅にこじんまりと設けられ、外観は薄いブルーの塗色で、一見小さな事務所風。男子トイレは大便器1(洋式)、小便器2で、大便器は温水洗浄便座。女子トイレは洋式の温水洗浄便座3を備えています。また、車いすで利用できる広いスペースの「多機能トイレ」も併設しています。 長野市の別の40代女性は、「公衆トイレは多少臭いがあっても気にしませんが、たまに蛇口がなかったり水道が使えなかったりするのが一番困る。このトイレは設備も不足なく、ピカピカなのが気持ちいいですね」と話していました。 所管する長野県観光誘客課は「観光地のトイレ整備への市町村の関心が高まっています。県内77市町村全部がそれぞれ1か所でも認定を取っていただければうれしいですね」と期待しています。