長野など観光県で「きれいな公衆トイレで誘客」作戦 汚いイメージ一掃へ
高知県では4年前から取り組み
同様の取り組みは高知県でも行われています。同県はホームページで「観光客の満足度の向上につなげる」取り組みの一つとして4年前から始めたトイレの認定制度「おもてなしトイレ」を紹介。2014年の12月現在で694か所を認定したとしています。 高知県の認定基準は、(1)清潔であること、(2)明るい(50ルクス以上)、(3)臭いがない、もしくは臭いを消す対策をしている、(4)トイレットペーパーの予備を置いている、(5)洋式トイレが1か所以上ある、(6)利用者への“おもてなし”がされている――などの6項目。長野県と同じく、きれいで明るいことや洋式化などがうたわれています。 おもてなしの具体例としては、一輪挿しやおむつ交換台の設置、音楽を流すなどの何らかの工夫を挙げています。
認定後も2年ごとにチェックや研修
トイレは認定されたらそれで終わり、というわけではありません。清潔さ継続していくための取り組みが行われます。長野県の信州まごころトイレは、認定後も2年ごとに県内各地の県職員らがチェックし、基準をクリアしたら更新します。県の研修会は毎年県内4地区で小学校のトイレなどで実地研修。清掃業者向けのトイレ清掃研修会も高速道路のパーキングエリアや道の駅などを会場に開いています。 観光客が多い時期は観光地のトイレの維持管理が困難になるため、「ボランティアの皆さんの活動でカバーしていただくこともあります」と観光誘客課。快適なトイレで観光客を迎える活動は地域の課題にもなりつつあるようです。 海外、国内含め旅行の印象で無視できないのがトイレ。汚れていたり不便だと観光地のイメージを悪化させます。公衆トイレが良好な状態で整備されていれば「清潔で便利だった」といった観光客の印象が口コミで伝わるなどの思わぬ好影響も。このため観光政策の課題の一つとしてトイレの整備が見直されてきました。 政府も2020年東京五輪に向け「行列のできるトイレ」の解消や、より快適なトイレの普及を目指す方針。内閣官房は昨年、「日本トイレ大賞」を募集し、応募378件の中から羽田空港国際線旅客ターミナルビルのトイレなど28件が受賞しました。これまでもインバウンドの外国人に喜ばれてきた日本の清潔で機能的なトイレにますます磨きがかかりそうです。
---------------------------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説