Z世代が辞めない意思疎通3カ条 「エモい・早い・わかりやすい」
これまで2回、早期離職防止のためのコンサルティングサービスを提供するカイラボ(東京・中央)の井上洋市朗社長に、若手社員の早期離職に対応する上で必要な考え方の基本と、若手社員と接する際の「NGコミュニケーション」について解説してもらった(接し方を変えないと「3年で辞める若者」はいつまでも減らないと「甘いな」と思っているのに「分かるよ」と共感を示す上司の過ち)。井上氏によると、1990年代半ば以降に生まれたZ世代とのコミュニケーションには、3つのツボがあるという。最終回となる今回は、より具体的なテクニックをお伝えする。(聞き手 経済メディア編成部 久保俊介) 【関連画像】Z世代には「存在の承認」「行動の承認」「成果の承認」が重要 若手社員とのコミュニケーションにおける3つのコツは、「よりフラットな関係に」「よりスピーディーで高頻度に」「ロジカルであると同時にエモーショナルに」です。では、これらを実現するうえで上司は、具体的にどう対応すればいいのでしょうか。 そこには3つ、コツがあります。それが「承認の語彙力を増やす」「問いかけのレパートリーを増やす」「ロジカルとエモーショナルの両面で語る準備をする」です。一つひとつ、詳しく説明します。 コミュニケーションで大切なのは、互いの信頼関係です。若手社員との信頼関係を築くには、承認欲求を満たすことが大切です。「承認」はZ世代とのコミュニケーションにおける、重要なキーワードです。 承認には3種類あります。まず1つ目が「存在の承認」。チームの一員として、きちんと認められているかどうか。そして次が「行動の承認」です。何かに積極的にチャレンジしたなど、行動に対する承認です。そして最後が「成果の承認」。結果を出した人に対する承認などを意味します。 ありがちなのは、成果の承認しかしない組織です。そもそも、若手社員が仕事ですぐに成果を出すのは難しい。それにもかかわらず成果の承認しかしない組織では、若手社員の承認欲求はなかなか満たされません。だから成果だけでなく、存在そのものや行動の承認をすることが求められるのです。 ●「Iメッセージ」「Youメッセージ」「Weメッセージ」を使い分ける ところで、皆さんは相手を承認する言葉をどのくらい知っているでしょうか。例えば、「ありがとう」「お疲れさま」「仕事早いね」「みんな助かっているよ」などいろいろな表現が考えられますよね。承認の言葉は、大きく分けて3種類あるといわれています。 「ありがとう」「助かるよ」など、そう感じている主語が「私」になる場合を「I(アイ)メッセージ」。「仕事が早いね」「丁寧だね」など、主語が「あなた」になる場合を「You(ユー)メッセージ」。そして、「みんな助かっているよ」というような、主語が「みんな」になる場合を「We(ウィー)メッセージ」と分類できます。