なぜマイナー?藤川と和田がメジャー昇格できない不可解な理由
藤川も故障で出遅れた点では、和田と状況が似ている。右足の付け根を痛めたのは、キャンプ最後の登板となった3月31日。その前の時点で開幕ロースター入りをほぼ決めていただけに、痛恨の故障となった。 ただ、その後の展開においては、想定外のことが続く。故障後、シート打撃を1回挟んで15日に1回目のリハビリ登板を行ったが、それからさらに6回もリハビリ登板を重ねている。通常であれば、リハビリ登板の成績に関わらず、故障した箇所さえ回復していれば、2~3回の登板を経て復帰するはず。7度は異例だ。 27日のロースター変更は、さらに不可解。レンジャーズはその日、右足首のねんざで開幕に間に合わず、復帰してからも本来のピッチングが出来なかったタナー・シェパーズをマイナーに降格した。本来ならここで、藤川が呼ばれるはずだが、昇格したのはアレックス・クラウディオだった。クラウディオは、唯一の左投手ということで、キャンプ当初は開幕ロースター入りが確実視されていたが、オープン戦で評価を下げ、開幕1週間前になってレンジャーズは同じく左のサム・フリーマンをトレードで獲得。クラウディオをマイナーに送った。ただ、そのフリーマンも期待外れで、結局レンジャーズは、ブルペンに1人も左投手がいないという状況で開幕を迎えている。 クラウディオを上げたのは、やはり左が欲しい、ということだったのかもしれないが、チームには、「藤川は左に強い」という評価があり、左のワンポイント的に藤川を起用する案もあった。であればやはり、優先順位としては、クラウディオより藤川のほうが上だったはずである。 4月29日、ジェフ・バニスター監督は、「まだ、シャープではない。制球力の向上に取り組んでいる」と話したが、27日の試合後、藤川が「凄く手応えがある」と口にしたのとは、矛盾する。和田の場合、こうなったらこう、という流れが見えるのに対し、藤川に関しては、チーム方針が読めない。 藤川を上げて誰かを落とすとしたら、ケネオ・ケラかストルミー・ピメンテルだが、ともにまずまずの成績。ピメンテルは、期待以上だ。クラウディオがやはりダメ、ということであればすぐに落とされるだろうが、ここまで2試合に登板し、無安打に抑えている。そういう理由は確かにあるにしても、ここまで復帰が遅れていることの説明には物足りない。 チームが藤川に何を求めているのか。それがはっきりしない限り、藤川はもう少し、もどかしい日々を強いられそうだ。(文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター) ※成績は4月末時点