城西大は手術から“復活のエース”が杜の都を駆ける 支えてくれた仲間のために2度目の全日本へ
■復活のエース、走る喜びを胸に2度目の全日本へ
手術からおよそ3か月経った8月。高地での夏合宿に励むチームの中に、高橋さんの姿がありました。 赤羽周平監督は「今は大きな異常なくやれている。苦しい中で頑張れた原動力の2年生選手3人と全日本を走りたい」と話し、その姿を見つめます。 練習が始まると、高橋選手は先頭でチームを引っ張ります。同期でキャプテンの金子陽向選手と共に、最後まで走り抜き、設定タイムもクリアしました。走り終えると、その目には思わず涙が。 金子選手は「泣いたの?」と一言声をかけ、高橋選手は「嬉しい、一緒に走ってくれる人がいるっていうのは」と涙ぐんで答えると、金子選手は「そうだよね、本当にそうだよね!」と明るく返しました。 仲間の支えで驚異的な回復を見せた高橋選手。迎えた9月、学生トップランナーが集う日本インカレで、各校のエースが出場する5000メートルにエントリーします。これが約9か月ぶりの復帰レースでした。 序盤から先頭集団につける攻めの走り。終盤は、苦しい場面もありましたが、応援を背中に受け、最後の力を振り絞って6位入賞でフィニッシュ。レース後、テレビ電話で仲間と「お疲れー!おめでとう、あおちゃん!」とねぎらわれると、高橋選手も満面の笑みで「ありがとう!」と伝えました。 手術からわずか4か月。2年生の仲間は、奇跡的な復活を遂げた高橋選手に勇気づけられています。 兼子心晴選手は「葵がいるだけで心強いというか、みんなを笑顔にしてくれるので。帰ってきてくれてすごくよかったと思う」と話し、盛合マネージャーは「葵がいてくれると、チームとしても安心して任せられるというか、全員で戦っていけたらいいなと思う」と前を向きます。また、金子選手は「葵が間に合ってくれてよかった、さらにレベルアップした城西で(全日本に)臨めたらと思う」と意気込みました。 苦難をこえ、帰ってきた不屈のエースは最長区間5区を走る予定。3区には兼子選手、6区には金子選手と、支えてくれた2年生たちは順当にエントリー。高橋選手は「支えてくれた3人の存在があったから乗り越えられた。自分の走りでチームに貢献できたらいい」と仲間とともに杜の都を駆け抜けます。